剣の街の異邦人

 チームムラマサ謹製の3DダンジョンRPGである。
 最近、Vitaでデモンゲイズを出してからというもの頻繁に過去作品のリメイクや新作を出してそこそこ売れている。
 マイケルソフトの時にチームラの中心メンバーが自腹きってウィザードリィエクス2を作っていたころを思えば雲泥の差だろう。


 今作は脱ウィズ路線に進み始めた円卓の生徒、それと同じ世界観を持つデモンゲイズとの間の時代の作品となっている。
 上記2作は3Dダンジョンで装備を集めるハスクラという路線は維持しつつも、円卓はキャラクターメイクをさせずにキャラクター固定(もっとも育成はかなり自由)、デモンズはデモンという召喚獣みたいなものを前面に出しており
 Wizとはちょっと違う3Dダンジョンものだったのだが、同じ世界観を共有する反面、原典回帰するようにウィズ色を表に出して来た作品。
 とはいっても過去作の集大成をうたっており、上記2作だけでなく今まで出して来たゲームの要素を大体網羅してきている。
 軽快な操作性はより磨きがかかり、高速戦闘、リピートなど開き直った仕様はそのまま、昔の女神転生にあったようなMAPの自動移動まである。円卓やデモンズであった特定ポイントでの宝持ちモンスターはアイテムを消費から士気ポイントを消費する形になった。士気ポイントというのは古くはエクス時代からあったもので、絶対逃走や防御無視全体攻撃などPTスキルというものを使うためのポイントで、今作はこのPTスキルをガンガン使わせるつくりになっている。それをモンスター召喚に使わせることでリスクとリターンをはからせるようになっている。
 ポイントさえあれば何度でも召喚でき(実際は消費量がだんだん大きくなるので2回から3回くらいが現実的だが)士気ポイントもどんどんたまるのでどんどん使っていっていいというお手軽しよう。ハスクラ3Dダンジョンと銘打っているだけあって、このあたり縛りをほとんどいれていない。
 そのほかに純血種というダンジョンを徘徊するボスを用意しており、これに襲われるリスクもある。もっとも主人公たちの目的の一つにこの純血種討伐もあるので探し回る羽目になるのだが。
 他にこの作品の特徴として蘇生の難しさ。Wizでそうだったように蘇生にはペナルティが存在しており、死ぬたびに生命点が消費され0になると消滅してしまう。もちろん回復させる方法もあって、きちんと回復させていれば消滅することはないのだが、その代りに大金かもしくは長時間の療養期間が必要で戦線離脱を余儀なくされる。戦闘中の蘇生は難しく、魔法による蘇生は無い。貴重なアイテムでの蘇生は可能だが、生命点は消費されるという、死に対するペナルティが最近のRPGのなかでは格段に重いといえる。そして原点回帰したWizのごとく割合殺しに来る。全体的に難易度は高めと公式で言っているだけのことはある。まあ、過去のWizに比べたらかわいいものだが。


 とにかく、カジュアルに軽快に、同時に深くディープに3Dダンジョンに嵌まれるように設計されているまさに集大成と言っていいゲーム。

 
 さて、紹介とほめるのはここまで。


 このゲームの難点である。
 誤解のないように先に言っておくとこのゲーム非常に頑張って作られており手抜き感は一切ない。過去作の不満点もうまくつぶしている。
 非常によくできたゲームであるといえる。この1作に限って話をすれば…


 そう、いい加減飽きた。


 ずっとチームムラマサのゲームを追っている身としては、いい加減同じようなゲームばかりで飽きてきたのである。
 おそらくチームムラマサ独自の3DダンジョンRPGを作るための開発キットのようなものがあるのだろう。もしくはソースコードを当然流用しているか。
 このあたりゲームを作ったり移植したりするのだからある意味当然のことである。
 だが、こうも年に1度くらいの割合で似たような作品が続くと飽きるのである。
 ぶっちゃけていってしまえば毎回買う必要はない。デモンゲイズ持ってたらそれだけでいいし、円卓の生徒もってればそれやればいい。
 それくらい代わり映えがしない。
 ゲームをやればわかるが手抜き感は一切ない。にもかかわらずシリーズ全体で見ると使いまわし感を異様に感じるのである。
 だからといって3Dダンジョンものをこれ以上どうにかしろというのは難しいだろう。
 世界樹が4を出したあと過去作のリメイクやらペルQやらちょっと毛色の変わった系統に手を出し始めたのもスタッフがマンネリ感打破のためなんじゃないだろうかと思ってしまう。


 もう一度言うと、これ単品は非常によくできている。
 今年中にVitaに移植されるらしいのでWizライクな3DダンジョンRPGが好きな人はぜひ手を出してみてほしい。