あやかしびと 全ルート終了

 今回、日記に続きを見るをつけていないのは、あやかしびとのネタバレ隠しをするため。あやかしびとをする予定のある人、興味のある人は、今日の続きを見るを押さないで下さいな。押す場合は自己責任で。
 とりあえず、ネタバレの無い部分から。
 ルートは全部コンプしたのだがCGが全部埋まってない。トーニャルートとすずルートで回収し損ねてるそうだ。さくらフラグを立てなかったのと、すずフラグを立ててしまったのが原因っぽい。わかる人だけわかればよい。
 全ルート通してみて、非常にバランスの良い作りかなと。最初張った伏線を消化することに主眼を置いておらず。各ルートでそのルートのテーマに沿ったつくりになっている。だから、4つあるルートどれもが基本コンセプトは同じなのに、全然違う魅力を持っている。
 これはホントにすばらしい。
 比較対象がタイプムーンで悪いが、月姫Fateと比較してもこれは上回ってると思う。月姫の場合は、表と裏の二つに大まかに分かれるが、細部が違うだけで根本は一緒だった。Fateに至ってはルートでテーマは違うのだが、基本コンセプトすら捨てる形式になっている。むしろその結果主人公の自己中振りが目立ちすぎになっている。Fateと言う作品がいまいち好きになれないのは、全体的に面白いのに、主人公があまりにも気に入らないからなんだなあと思っちゃった。ルートによって主義主張が変わりすぎなのも主体性が無い人物に思わせる原因なんだが。おっと、批判じゃなかったから、これはこれで終わり。
 俺の好きなデモンベインと比較しても、コンセプト的にはあやかしびとのほうが良い出来かと。デモンベインはルート分岐後も基本的な展開は変わらないし。いや一部はっちゃけてラスボスまでにのし上がる黒い人とかいるけどね。
 さて、ここからは完全ネタバレ。注意して下の続きを読むを押すか押さないかを自分で決めてくれ。

  • 薫ルート

 ヒロインは確かに薫さん。一応見せ場もある。輝義との一騎打ちは確かにかっこよかった。この人の能力はすごいといえる。あのアクの強いメンバーの取りまとめと言うことを納得させる実力だった。
 島の病院でレイプされていたと言うのは予想通り。まあ主人公をかばってのことと言うのは想定外だったけど。どのルートでもわずかに出てくる彼女の過去を明確に書いたルートで最終的にはハッピーエンドなんだが、かわいそうに、薫ルートは二つの不幸を背負っている。彼女にとって。
 まず、主人公との学校生活みたいなのが他のヒロインと違ってないので、ラブラブイベントが少ない。なんせ、彼女と双七とが結ばれた直後に、当の双七はさらわれてしまうからだ。
 次に、虎太郎の存在。
 というか、このルート、虎太郎ルートと言い換えてもいいくらい。主人公からヒロインから何から何まで虎太郎に持っていかれてしまっている。
 鬼と化して圧倒的な力を誇る九鬼に、力だけ求めた結果お前は弱くなったと、それを打倒してしまう。一度敗北した相手に勝ってしまうかっこよさもさることながら、彼の教師としての矜持などもひたすらかっこいい。他のルートでは見せ場ほとんどないけど、このルートはまさに主人公。
 ついでに、レイナも陥落してしまう男の魅力たっぷり。彼女のけなげさも、薫の影を薄くする要因のよう無きがする。
 結局、どのルートでもそうだが、割を食うのは薫さん。どこまでいっても不幸な気がする。
 そういや、このルートだけだよなあ。ドミニオンが壊滅するのって。というか第17戦隊以外はたいしたこと無いんじゃないの? こいつら。

  • トーニャルート

 トーニャにスポットを当てたルートで、他のルートとは一味違った展開を見せる。それは他のルートだと存在をほのめかす程度しか・・・いや、選択肢の選び方次第では存在すらほのめかされない組織が出てくる。いやまあトーニャの祖国ロシアだが。
 この話の見所は軍隊相手に奮戦する生徒会だろう。上杉先輩をメンバーに入れて苦戦させることで、双七や会長、トーニャの戦闘力の異常さを引き立てる効果になってる。
 まあ、会長は見せ場と同時に引き立て役にもされてしまうのだが。
 このルートはトーニャとウラジミールの魅力をたっぷり詰めた展開になっており、ウラジミールと二人のからみには主人公で恋人であるはずの双七すら置いてけぼりになるくらい。ウラジミールのあの言動は半分以上素に見えるけど。
 ロシアの特殊部隊を見てて、ファントムの最後の方をちょっとだけ思い出しちゃった。まあ、東出さんもファントム好きみたいだし、影響受けてるのかなあ。シチュエーションが似てるだけかもしれないが。
 ちなみに、トーニャVSソーニャは少年漫画バトルの典型的なものだったり。男塾思い出しちゃったよ。
 で、特殊部隊との戦いの終了後に出てくる、ドミニオンはちょっと蛇足だったような気がする。まあ、この話、共通ルートである島から脱出して街に来るまでの導入部分はドミニオン側の視点で語られるので、こいつら出さないと確かに話が締まらないのだが。
 やっつけで出てきてるので扱いもやっつけ。 
 相変わらず九鬼に殺される一奈。こいつ死なないルートって無いよなあ。
 このルートは双七が唯一師匠越えを果たすルートなので、九鬼VS双七は盛り上がったのだが、他のドミニオンは結局引き上げちゃうし、やっぱ蛇足な気がする。ただ、このルートで九鬼越えを主人公が果たすとは思わなかったが。
 実は、刀子⇒薫⇒トーニャ⇒すずの順でクリアしてて、先の二つの展開から、双七が師匠越えを果たすのはすずルーとかなあと思ってたんだけど。でもこれは良い意味で裏切られてたから良しとしよう。

  • 刀子ルート

 全ルートで一番の異色ルートではないだろうか。
 で、このルートは実は一番最後にやる方が面白いのではないかと思ったり。まあ絶対ヒロインであるすずが最後のルートになるのは仕方ないんだろうけど。でも刀子ルートを見ないで他のルートやってからこのルートやるとすごく面白く感じるかと。いや、最初に行っても面白かったけどね。
 このルートは双七がラスボスと言うこと。
 まずこの点がすごい。どんどん壊れていく双七もすごかった。すずすら、信じきれなかった壊れていく双七を刀子だけは信じたってのもこのルートのポイント。どのルートにも無い魅力はここにあるのかも。
 で、鬼にならずに、味方になり弟子のために戦う九鬼という珍しいものも見れる展開。
 すずルートでは人格サイテーとまで刀子に言われる九鬼が刀子と協力して、双七を元に戻そうとする展開は見物です。そういう言葉のやり取りの部分でも、すずルート⇒刀子ルートのほうがインパクトあったよう無きがするなあ。
 あと、魔人双七の洒落にならない強さもポイントかと。憑き物が取れた九鬼は人類で最強クラスと初回特典のあやかしぼんに書いてたんだけど(ただしくは鬼になる前の九鬼ってことのようだが、その後より強くなるために研鑚してたみたいだから、あながち間違いではないだろう)その九鬼すら圧倒する戦闘力。腕や足に装着された螺旋する刀もまたかっこいい。黒いコートが似合い過ぎ。というか双七、オープニングの天に向って銃を撃つときと顔が違いすぎ。
 と、他のルートであるシチュエーションを完全に塗り替えた展開は見所満載。そして最後にしめるのが会長こと一ノ谷愁厳だったりする。戦闘力では刀子や九鬼に劣るが、この人が最後まで頑張りつづける。会長萌えなルート。まあ、トーニャルートであった釣りする会長も良いのだが。
 で、この人も嘘をついたまま死んでいく。
 ウラミジールといい、会長といい、このゲームに出てくるかっこいい男はみんな優しい嘘をついていくよなあ。同時に酷く残酷なんだけど。 
 エンディングでさりげなく語られる後日談も良かったかと。刀子と双七が結婚してもすずはそばにいて、双七の子供をかわいがってるところとかが妙にほのぼのとして。
 全ルートで一番好きなルートかもしれない。
 あと、あまり出番の無い天も活躍するしねえ。負けるけど。

  • すずルート

 全4ルートの最後をしめるある意味本編。他のルート終えてないと入ることすら出来ない。
 でまあ、すずがさらわれるあたりまでは良かった。高速道路の戦いあたりかな。その後の展開が妙に唐突過ぎてちょっと置いてけぼり。敵の動きがリアルなだけに、主人公達の突飛な行動がどうにもこうにも。まあ、それだけご都合主義にしなきゃ解決できないくらいに敵がまともな動きしてしまったんだけど。
 それでも3つあるエンディングはどれも良い。すずの父親がわかるのもこのルートでようやく。
 ラストバトルはゴジラVSメカゴジラって感じかな。相打ちだったけど。
 主題歌の尺にあわせて展開する最後の特攻は確かにかっこよかった。っていうか尻尾の1本は文一かよ。
 だけど、同時に、今まで特殊能力の持ち主の戦いだったのに、あまりにもスケールのかけ離れた戦いにちょっとついていけなかったり。
 このゲーム、似た展開のゲームは他にあれど、主人公の生活周りは非常に地に足のついていた。主人公が戦おうと言う理由もしごくまっとう。他のゲームと違うのは、自由を、普通の生活を手にするまでの苦労も語られているからこそ、それが以下に大切かと言うことを切実に理解させる要因となっているのもポイント高い。
 にも関わらず、急に世界の命運を賭けた戦いに発展しちゃうのはどうかなあと思う。まあ吸血大殲も最後はすごい展開だったから、これもありかなあ。でもあっちは最後はタイトルからして大殲滅戦になるのはわかってたしねえ。
 他のルートと微妙にテンションが違い戸惑ってしまった。ちょっと残念。
 終始、九鬼と双七の決着に視点が置かれている+すずがさらわれたりいなかったりする期間が長いため、ヒロインであるはずのすずの印象が非常に薄い。ついでに言霊も失うので出番が更に減る。刀子なんて一兵衛を倒すと言う見所まであるのに。上杉先輩も大活躍するのに。なのにヒロインが・・・。すずは他のルートでも守られる対象だったし、意外と割り食ってるよなあ。

 次にキャラごとの感想。

  • 如月双七

 このゲームの主人公。よくある、大切なものを守るために戦うと言う典型的な主人公なのだが、先生の教えと世間知らずと不幸な過去から酷く涙もろい。悲しいことでは我慢して泣かないけど、うれしいことがあるとぼろぼろ無く。
 典型キャラなのに、今を大事にする為のバックボーンがきっちり語られていたり、感動屋という性格のおかげか、すごく好印象のキャラ。できる範囲でできることをしようと言う態度もよい。格闘技が得意で、特殊能力もってて、正義感が強いと言う典型なのに、そこに至るまでをきっちり描くのと描かないとでキャラクターの説得力がここまで変わると言う見本ともいえる。
 最後にすずルートで右腕がなくなるのはご愛嬌か。なんせ、東出さんは遠野志貴の右腕すら切断した男だ。でもウーンデットスネークって死体が粉みじんになるような爆弾なのに、右腕だけで済んだってのはちょっとおかしくない?

  • すず

 このゲームの正ヒロイン・・・なのだろう。
 実は九尾の狐。だけど未だ尾は1本。
 お姉さんぶったり、でも我侭だったりと、非常に魅力的なのだが、意外と印象が薄い。多分すずルートでの扱いのぞんざいさにある用な気がする。
 そもそも特殊能力が言霊だけで、耳ふさがれたら効かないと言うお粗末な能力なのが影の薄さの要因か。彼女の言霊が全力で発揮されたのは薫をいびりぬく小姑モードのときと、すずルートで二度と近寄るなと言った時しかないし。敵じゃなくて味方に本気発動してどうすると。
 でも、やっぱり癒し系。どのルートでもきっちりと見せ場を作ってるのがポイントか。刀子、薫ルートでは引き立て役、トーニャルートではトーニャのライバルとして。
 そうなると、やっぱりすずルートでの彼女の扱いにやっぱり疑問が。さらわれる⇒ひきこもる⇒さらわれるの三段活用だもんなあ。
 結構他では見ないキャラだったように思えるのでちょっともったいなく感じる。

 薫ルートで言っちゃったけど、割食ってる人。
 どのルートでも結構不幸だと思う。無傷だったのトーニャルートだけじゃない?
 あの時は出てきただけで何もしてないし。
 エロ担当か?

  • トーニャ

 Hイベントが少ないと思ったら分岐してたのね。
 スパイであることがばれて、みんなに合わせる顔が無いとか、他のルートでは見れない彼女の素顔がかなり素敵。ウラミジールとの信頼で結ばれた関係も良い。
 すずとの絡みや双七をからかうところとかがかなり面白く、ギャグ担当としても一流キャラ。というか使いやすそうなキャラだよなあ。
 しかし、彼女の不幸は双七を独占できない部分にある用な気がする。すずが譲らないからなあ。というか、特殊能力最初から使えばウラジミールは死ななくて済んだのではないかと思わなくも無いが、言わぬが花と言う奴か。

  • 刀子

 生真面目で、おっとり系で、才色兼備。柏木千鶴ですか?
 と言うくらい典型キャラ。違うのは料理が得意なことくらいか。
 嫉妬深い、怒ると怖いと言う点も共通してる。
 いやまあ、悪いとは言わんが、ちょっと似すぎだろうと。
 しかし、俺の中で理想の女性といえる千鶴さんと同系列である以上、模倣であるとも惹かれるわけであって。
 ただ、どうしようもない状況でも諦めずに双七を助けようとした点は本家を超えるか。本家は見捨てて殺すからねえ。まあそういう部分も千鶴さんの魅力なんだが。
 また、一兵衛との対決はかなり良し。兄妹そろって嘘つきだ。
 というか、居合をああいう使い方するのは初めてでないかな。まさに、人類最速の居合。抜刀斎もびっくり。
 刀子ルートとすずルート以外では兄のほうが結構出てくるので割食ってるけど。二人で一人だから出番が分断されるのは仕方ないよねえ。

  • 九鬼耀鋼

 刀子ルート除いてラスボス勤める勤勉な人。
 すごく、魅力あふれる人物で、壊れていく様が悲しすぎる。刀子ルートでまともな一面を見せるだけに余計にだ。
 強くて不器用。
 それ故に鬼に身を落とす。ただ、贖罪のために抉った右目だけは最後まで人間だったと。
 すずルートでも九尾の鬼となって最終決戦に至るが、最終決戦バージョンではなく、その最後に残った人間部分を抉られて死ぬルートのほうがあやかしびとらしくてよかったと思う。盛り上がりには欠けるだろうけど。
 ただ、最後に憑き物が落ちたような顔で、双七と最後の会話をするシーンは涙が出そうになる。
 双七にとっては唯一の先生だったけど、同時に薫が母親代わりなら、九鬼が父親だったんだなあと思ったり。
 まあ、あやかしびとという作品の3割くらいを一人で支えてる人物。彼がここまで魅力的な人物じゃなかったらここまではまらなかっただろう。声も渋くてよい。聞き取りにくいシーンとか結構あったけど。
 あとは、双七と共闘するルートがあって欲しかったなあ。それだけが残念だ。
 例えば、一奈を殺して、ドミニオンに追われる九鬼と双七が再会して一緒にドミニオンと戦うとか。
 もっとも、ドミニオン程度なら一人でつぶしかねないんだが、このおっさんは。

  • 一兵衛

 ドミニオンの一人。
 その姿はまさに求道者。刀に生き刀に死ぬ生き様がすさまじい。トーニャルートを除いて全て死んでいるが、どの死に様も武人といえる。が、現代でハラキリはやりすぎだ。
 刀子ルートでは双七にあっさり殺されるし、薫ルートでも意外とあっさり死ぬが、その強さは刀子ルートでいかんなく発揮されたと思う。
 でもやってることは、銃夢のケイオスに似てたり。
 サイコメトリー〜〜〜

  • 輝義

 一見俗物。しかし、やっぱ一兵衛の弟だよなと思わせる人物。しかし、兄弟で名前の統一感がなさすぎなんだが。
 こいつは兄よりも見せ場が多い気がする。刀子ルートではあっさり死ぬけど、薫ルートではVS薫とすずルートではVS双七と敗れるとは言え散々盛り上げてくれる。
 死に方も潔いしなあ。
 トリガーハッピーはかなり好き。あの言い方が。このゲーム全体に言えることだが声優うますぎ。
 九鬼を除くドミニオンの中で一番いい扱いうけてると思うのは気のせいか?

  • 一奈

 どのルートでもろくな死に方しない人。
 まあ、ろくでなし度も第17戦隊一なんだが。殺されて当然みたいなキャラだからなあ。と言うか九鬼の仇に指定されてる時点で死亡フラグ確定だ。
 刀子ルートでは魔人双七VS半鬼九鬼の対決邪魔して、その後鬼の部分だけが死んだ九鬼に顎を抉られて殺される。
 薫ルートでは鬼になった九鬼に喰われて死亡。
 トーニャルートでは一人で双七達を追い詰めたところで九鬼に殺される。
 すずルートでは火車の能力に完全に目覚めて九鬼の仇にふさわしい強さになって暴れて調子乗ってたところで、双七のロケット頭突き喰らって顔から上が吹き飛ばされて死亡。
 と、死亡率100%と言う驚異的な数字を持つ女。
 ろくでもなキャラだが、もっとろくでもない中なんかが死なないルートもあるのにあんまりといえばあんまりだ。

  • 零奈

 この漢字であってたっけ?
 一奈と違い、結構見せ場のあるキャラ。姉妹なのに、この差はなんだろう。氷のような女のなのに、恋に生きると一途な熱い女に大変身。薫ルートでは神沢市に住み着いてしまうし。逆に薫ルート以外ではさほど目立たないキャラ。
 ただ、すずルートで殺されるシーンはちょっとかわいそう。一奈の「お姉ちゃんなんて大嫌い」って言われながら殺されるのは、妹にあまりに献身的だった彼女が哀れ。まあ因果応報で妹はどのルートでもろくな死にかたしないけど。

  • 上杉先輩

 開始時からフラグ2本立ってる男。というか主人公を張れる男。
 ルートによって出番が増減するが、出てくるときはきっちり根性見せる。
 また、フラグもきっちり消化するあたり、やっぱりエロゲ主人公向きの人物。
 トーニャルートでは幼馴染ゲット、すずルートでは後輩ゲットするし。
 ただ、このキャラの立ち位置の面白さは、普段、主人公になれる人物が脇役であることだと思う。
 ようは、典型的なエロゲ主人公を客観的に眺めるという遊び心が生じるキャラなのだ。
 もっとも、その部分は完全には上手く機能してないっぽいが。
 珍しいキャラなので、もうちょっと上手く発展したこの手のキャラを見てみたいものだ。

  • 一ノ谷愁厳

 萌え担当の会長。
 厳しそうな人物だが、その裏側にある本質が酷くかわいい。この手のキャラは自己にも他人にも厳しい人物が多いのだが、会長はそのさじ加減が抜群といえる。意外と自分にも甘いし他人にも甘い。
 厳しく生真面目な裏側にある優しさがこの男の本質だろう。
 この男が死に行く時に吐露する言葉は胸に刺さる。死ぬことが無念だと言う吐露が響き渡る。だけど、妹にも、妹の思い人にもそれを見せる事はない。死ぬ時まで嘘をつきとおす。諦めて死ぬのではなくやるべき事をやって、更にまだやりのこしがあって、それでも彼は黙って死ぬことを選ぶ。自己犠牲なんてやって潔く死ぬなんて事はありえないのだ。心の中では生への執着がみなぎっているだろう。それすら押さえ込んで胸を張って去っていく彼はかっこよすぎる。
 もっと出番増やして欲しかったよなあ。すずルートではほとんど出番無しですよ。不良をしばき回しただけ。それも1行で語られてるし。
 
 まだ書きたいことあるけど、また今度。