Final Fantasy VII アドベントチルドレン 翌日感想

 1日置くと冷静に物事を見れる。だからといって昨日の感想が嘘だというわけではない。

 全体的にはFF7の主要キャラの扱いのぞんざいさが目立つ。
 ティファとヴィンセント以外の登場には必然性がまったくない。唐突に現れて合流する。で、何かほかのことをするのかというと、バハムートらしきものと戦うだけで後は傍観者に徹する。ティファやヴィンセントですら終盤の扱いは同様である。
 仲間とのたまいながらも、クラウドは一人で戦うことを望む。仲間をあまりにも頼りにしなさすぎだ。彼のセフィロスへの最後のせりふはある意味でチャンチャラおかしいということになる。
 別の見方をすれば、仲間が傷つくのを見たくないからこそ、一人で戦うのだという見方もできるだろうが、結局それは彼が仲間を信頼していないからだろうし。
 クラウドの言動を見ればわかるが彼自身、自分自身を一番信じ切れていない。だから仲間にも頼ろうとせずに自分ひとりで背負い、それに押しつぶされる。
 そんなキャラが仲間に諭されて信頼を築く話ならば、最後のせりふが生きるのだろうが、残念ながらそんな展開はない。
 とにかく、バレッド、ユフィ、ケットシー、レッドはとりあえず出しました的な扱いでしかないのだ。
 また、アクションに傾倒しがちな作品で、まあ言うなら少年漫画的な話なのだが、無駄にシナリオ書きがそういうのを拒むプライドがあるためか、はっちゃけ切れていない。だから、3人組のカダージュ以外の二人の扱いが浮くのである。
 あの展開ならば、3人組にせずにカダージュ一人にしておけばもっとすっきりと話がまとまるはずだ。
 あの二人が出てきて、クラウド以外に絡ませて決着をつけてあげないからあの二人の最後がしっくりこないのである。親父面の方はせっかくティファとの絡みがあるのだから、そっちで決着つけさせればよかったと思う。
 多分、最初はもっと大風呂敷を広げた内容だったのだろう。ただ、アクションの尺と2時間という枠で削るだけ削ったのだと思う。削るべきなのに削らなかった部分がしこりとして残っているのではないかと思う。
 映像的には文句の付け所がないといっていい。
 映像に特化した映画だから、この点に文句をつける必要すらない。ひたすら追求しているし、見ててすごいのはわかる。
 アクションはマトリックス風という人が多そうだが、ぶっちゃけていうならドラゴンボールだ。しかし、アクションそのものはすごいが、手に汗握る展開もなければ映像からリアルな痛みも感じない。ティファもクラウドも3人組もかなり殴られたりけられたりするのだが、ほとんど血も出なければ痣も残らない。まあ、あまりえぐい表現をしにくいのだろう。規制がきついしねえ。
 結果からいうと、FFはもうゲームやめてこっちの路線に移ったほうがいいんじゃないかと思った。こういう作品作るということは坂口が言い続けた「映画的ゲーム」という路線にある程度の諦めを覚えたのではないかと思えるし。
 総評としては質のよいアクション映画と言っていいだろう。FF7を知らなくても恐らく楽しめると思う。
 ただし、クラウドファンならいいがそのほかのキャラのファンだと少々肩透かしを食らうかもしれない。まあ、タークスファンならかなり溜飲が下がるかもしれないが。
 しかし、ルーファウスが結局何したかったのかさっぱりわからない。
 ジェノバを拾って何かを計画していたがカダージュたちが現れて路線変更したと考えるのが一番しっくり来るのだろうか。やっぱり、のりだけであまり考えずに作られてると思われる部分はあちこちに存在する。しかし、ルーファウスも言っていたが、3人組はかなりお間抜けさんだ。
 で、ルーファウス生きてたことに一番驚いた。いや、死亡確認は確かにされていなかったんだけどね。ところで、タークスに給料は出てるんだろうか。まあ、神羅なくなってもルーファウスは資産家っぽいけどねえ。
 一番気になったのは、ミッドガル崩壊後の世界。魔洸がなくなってもあんまり困っていると言う描写がない。車は普通に動いてるのでガソリンはあるのだろう。バレッドが油田を見つけたとか言ってたのでそれも間違いない。魔洸の発見でいきなり文明が進歩したわけでもないだろうから、魔洸以前にガソリン車があったと言うのもいいだろう。でもそれだと、魔洸が世界を席巻した圧倒的な有利さと言うものが見当たらない。アドベントチルドレンの世界観を見る限り、魔洸がなくなって困ってそうな雰囲気はまるでないのだ。OPのマリンの「魔洸の恩恵」とやらがまるで垣間見れない。
 俺としては、ほとんどの化学文明が一時的に停止する事態になるのではないかと思っていたのだが。
 あと、相変わらずソルジャーの影も形も出てこない。全員リユニオンしたわけではなかったはずなのだが。ジュノンでは雑魚敵でソルジャーが出てくるし。
 この作品でFF7のその後的なSSは作りにくくなったと思ったが、さほど影響はなさそうな気がした。
 まあ、映像美はすごいので一度見てみるとよいのでは的作品。クラウドがうじうじしているが、根っこのところで暗くなるような作品でも考えさせられるような作品でもないので気楽に見れる。そういう点も及第点以上の娯楽アクションと考えればいいと思う。