ベルウィックサーガ再考

 今年中にしておかなければいけないもの。それはベルウィックサーガの評価のやり直しにある。
 最初やった時、あまりに前作とFEのイメージにこだわったため、散々酷評したのだが、時間を置いてやり直したところ、思った以上に面白いという事実に気がつく。
 このゲームの欠点は、地味な画面、低い命中率、育ってるのか育っているのかよくわからないレベルアップの3つにあるだろう。
 とにかく、とっつきにくいゲームなのだ。それもその度合いは半端ではなく、最初の10時間はまず詰まんない。この10時間はまず、システムを理解するために使われる時間だからだ。
 それさえ抜け、中盤あたりに来るとこのゲームの醍醐味がわかってくる。まず、このゲーム最初のステージを除けばほとんど主人公が不利な状況で始まる。しかし、意外なことにどうしようもない状況というのも少ない。ただし、一撃はずしたらもうアウトという状況はあるのだが。
 とにかく、そこにあるシステムをほぼ全部使わなければやっていけないといっていいゲーム。そして、初回プレイでははじめていくステージで完璧にクリアするなどというのは無理なのだ。
 そこで、伝統のリセットということになる。今回キャラの成長の吟味以外でもバンバンリセットすることになる。5ターンごとにセーブできるのだが状況しだいでは10だーんまえに戻らなければ取り戻せないこともある。
 とにかく、覚えることが大変、考えることが大変、乱数に祈る必要ありなのだが、その代わり、自分が立てた作戦や戦法がばっちりは待った瞬間の爽快感は何物にも変えがたいものがある。
 そう、このゲームはFEが最近歩んでいるヌルイキャラゲーではなく、シミュレーションRPGなのだ。敵を倒すために、戦争に勝つために、私情を交えず、最短で最善の手段を常に選択していかなければいけないゲームなのである。そのため、手に入る情報を確認し、できるだけ成功する確率を高くし、スキルを活用し、必ずこちらがターンはじめに先制行動を取れるといったシステムの穴まで活用しなければいけないゲームなのだ。
 そこにあるのは茨の道。しかし、その茨の先には中毒のようなゲームが待っている。
 システム面に粗が多く、話にも主人公の立場が立場だけに地味な展開+つかいっぱしり感ありまくりでダイナミズムに欠けるが、それを補って有り余る、シミュレーションとしての楽しみのあるゲームなのだ。
 ちなみに、まともにクリアするのにおそらく100時間くらいかかるだろう。というかかかったよ。
 しかし、このご時世にシリーズ物の続編でこれほどまでの骨太なシミュレーションを作ってくるとはある意味想像の斜め上を行っていた。FEと比較したくなるが、比較すべき性質のものでもないだろう。あっちはFEとはいえ接待ゲーともいえるヌルイ難易度、こっちはプレイヤーに媚びない骨太なシミュレーションなのだが。こっちのほうは世間になかなか認められないが、この路線でぜひ頑張って欲しいものである。
 前回と評価を改め、80点をつけたいと思う。