ファイアーエムブレム 聖戦の系譜

 2006-08-26
 flyfreeさんとこで紹介されてたので。

 まずは引用から。

 親世代の避けられない悲劇も、子世代における数々の葛藤も、全てが美しい物語を織り上げている。公国の第一公子が主不在の隙を狙って攻め寄せてきた蛮族に対して義憤を以って兵を挙げ、紆余曲折を経て大いなる陰謀に巻き込まれてゆく親世代/亡国の皇子が、忠臣や親友達と共に希望の光となって圧政に苦しむ人々を解放してゆく子世代。単体のみでも十分な物語として成立する要素を世代交代を間に挟む事によって相反せずして両立させている見事な物語の構成、或いは個々の登場人物に仕込まれた愛憎入り乱れる人間関係等(若干綺麗に描き過ぎな部分はあるが)豊富な背景を元に描かれるドラマが魅力な本作。最終的には勧善懲悪となるものの、その部分にすら葛藤を仕込む脚本/演出は凡百の作品には無い味があると言えよう。

 また、子世代の戦力や世界のその後に影響を与える恋人システムや、騎馬部隊の再移動システムや武器使い込み(撃墜数カウント)による必殺発動システム、或いは広大な一マップ内において順次攻略目標が提示されていく(それまでの1マップ/1拠点に比較して)戦略の幅が大きく広がった攻略様式、はたまた毎ターンセーブなど、やり込むも良し/拘るも良し/妄想する思いを馳せるも良しな名システムが組み込まれている。

 感想としてはほぼおおむね同じ感想を持っている。
 ただし、このゲームはFEを同人やおいファンを増やす要因にもなった、ある意味これ以後のFEを腐らせた根源だとも思っている。
 その点では俺はFEでは一番いい作品ともいえないし、だけど駄作とも切り捨てられない愛憎入り混じった作品である。
 
 個人的には異様に広い1枚MAPは無駄な広さを感じさせてしかたない。このマップの広さのせいでシミュレーションゲームとしての戦術性の希薄さがどうしても気になってしまう。また非常に無駄な時間も増える。
 そして、聖戦の系譜がFEにもたらした最大の悪癖が、地雷戦法とそれを支える能力値のインフレ*1である。
 このゲームから後のシリーズは全員がその境地に達するわけではないが能力値の上限が20を超えて大幅に上がった。育成の容易さもあいまって、味方側が異様に強くなる。強力ユニットを数人作り上げ、敵のど真ん中に放り込めば戦闘は終了である。
 これの何がシミュレーションか。
 敵も、騎士団とかをイメージしてるのだろう、同じ能力、同じユニットがワラワラと沸いてくるだけで、地雷として配置されたユニットに惨殺されるのみ。プレイヤーがやることは新たな地雷ユニットを作るのと敵を仲間にするために殺し過ぎないようにするだけである。
 戦術も減ったくれもないシミュレーションゲームの皮をかぶった何か別のゲーム。それが聖戦の系譜の俺のイメージである。
 無論、クリア後の成績をよくするには相当のやりこみが必要にはなるが。
 これ以後、FEはヌルゲーの一途をたどると思うと、手放しで誉められない作品ではある。良くも悪くもFEのその後の路線を決めてしまった作品といってもよいだろう。

*1:外伝もそうであるが、あっちはシステムが独特であるし、それ以前に無限育成が可能である時点で論外である