Bullet Butlers 総評+人気投票

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上のところで人気投票実施中。あいもかわらず男女別になっとりま。まあ、くっつけちゃうと、エロゲーなのに人気1位がリザードマンか駄銃になりかねない。それもありかなーとも思うのだが。

 そんなわけで総評。よく考えたら、ゲームの総評書くの久々じゃね?最近ゲームクリアしてねえもんなあ。
 そんなバレッドバトラーズ、ふと思ったが、頭のバと最後のズを取ればレッドバトラーだなあとか、ちょっとでも思った俺は馬鹿ですか。そうですか。馬鹿といわれると腹が立つのでアホと言うことにしといてください。
 毎度恒例?のキャラクターの感想を交えた全体の感想。
 いつもどおりに壮絶にネタバレありで進行するので、読みたくない人は続きを読むを押さないことだ。問題ははてなに問題があるのか、たまに続きを読むが表示されずに、隠してる部分全部表示されてることがあったりするが、まあ、その辺は壮絶な事故と言うことで。
 リック:一見朴念仁執事のように見えているが、実はこの人わかっててそういう態度とってるんじゃないかなあと言う気がする。特にヴァレリアやセルマの好意には気づいてて受け流してるような節も。とは言っても、自分の立場や相手の立場それらもろもろを考慮して立ち位置を調節しているんだろうけど。まあ、どんな人間もある程度持っている処世術だとは思う。ただ、エロゲーの主人公は得てしてこの処世術を持っていないケースが非常に多く、それゆえに朴念仁になるか、だめだとわかっているのに友人の好きな人奪ってしまうとか。別にエロゲーにかかわらず、アニメ、小説にそういう人間はいくらでもいるが。そういう意味では珍しい主人公かもしれない。わざと朴念仁ってのは。一番腹黒いのは、自分から好きだといわずに、相手に言わせて「私も好きですよ」という形に巧みに持っていく点ではないだろうか。そういう部分を含めて、ほとんどの事柄をある程度想定しながらわざと行動していると言う風に見えて仕方の無いキャラ。真の意味で慇懃であるといえよう。
 ある程度、執事としての理想像に自分を出来るだけ当てはめようと行動するのも特徴か。とはいえ、この世界ではこっちの世界と違い、世界を救った英雄執事という、真似すべき雛形が存在しているため、その世界での執事像というものが確立されているのもあるだろう。こっちの世界の執事が全部ギャリソン時田に習ってしまうこと以上にその傾向は強そうだ。
 アルフレッドは逆にリックと双子でありながら対比であり、その生き様の不器用さが目立つ。処世術を持たない故に、ひたすら突っ走って巻き込んで死んでいく。はかなくも悲しいといってしまえば綺麗だが、ひたすら迷惑である。なんか教育受けてなかった人間が唐突にダンプカーに乗って暴れているとしか思えないのだ。レイス、シド、ギュスターブあたりの持つ動機と言う点が思いっきりかけているわけで。人を殺してみたかったといって、その辺の老人殺す若者とメンタリティに差が無いように思えるんだよなあ。おっと、ここはリックの項目だった。
 実は結構お馬鹿なことしてるんだが、その態度でそうは見えないという結構得なキャラクターだよなあ。

 セルマ:体験版やOPではもっと無気力系のキャラクターを匂わせていたのだが、実はあまりそうではなかったりする。とくに序盤の戦闘のときの無関心ぶりは、実は別キャラじゃないかと思わせるくらい。多分、コンセプトがそうだったけど、結局そう書けなかったんだろうなという、設定の名残を匂わせるくらいになっている。無論、OP以降はミスティックワンを継承するために無気力やめたからともいえるのだが、それ以前でも結構動きのあるキャラなんだよなあ。故に、あの最初の戦闘前後だけ妙に浮いている気がする。とはいえ、彼女に関してはあんまり言うことないんだよなあ。東出さんのキャラにしては珍しくかなりテンプレートキャラなんだよな。いや、東出さんの場合は、テンプレートキャラをそう見せないところが特徴なんだけど、彼女の場合は珍しくテンプレートなお嬢様のままだったりする。細部細部ではかわいらしさ、強さ、弱さが、きっちり描かれているのだが、ちょっと腹黒、恋愛に臆病、そのあたりはかなりお約束なキャラクター。まあ、ラストバトルでは、レイスを仕留める大金星を挙げる*1し、他のエロゲーキャラとは違って主人公に依存して一人で立てないとかそういうことはまるで無い。あやかしびともそうだが、ヒロインが、最大最強のクラスの敵を一人で倒すとかそういうことをやっちゃうのが東出さんの特徴だろう。普通は、みんなで力を合わせて〜とかになるんだが。最後のドラゴンブレスソードは、プリンセスワルツが元かなあ。まあ、プリンセスワルツに東出さんもかかわってたらしいし。wiki情報だけど。で、結局、ファーブニルに変身できるドラゴニュートではなく、ラッカーのほうがミスティックワンに向いていたという落ちだったりもする。というか、ファーブニルでないラッカーのドラゴンブレスがファーブニルのドラゴンブレスと互角ってことは、元ファーブニルのイングリットの場合はもっと威力が高いってことにならんか?

 ヴァレリア:中の人はトーニャなのに、トーニャの対極にいるような人。ある意味、キャラクターに一番ブレの無い存在あり、どのルートであろうとも立ち位置が変わらない。そう、たとえ主人公の恋人となろうとも。彼女のルートはある意味一番、この手の話らしい展開をする。主人公と力を合わせ、圧倒的な力に対抗し、勝利を収める。セルマでも対シドでやってるのだが、その後一騎打ちのラストバトルが存在したからなあ。しかし、こいつに関してもあんまり言うことないなあ。エルネスタはいずれ自分を越えると言っているけど、とてもそうは見えないんだけどなあ。

 雪:自分の中の殺人人形としての過去に悩む人。そして、結局人間・・・いや、執事として覚醒し過去を振り払う。どこの御身苗優?
 フォレンソール主席だとか、殺人人形だとか、強そうな設定をもつわりに、けっこうかませ犬。のようで、やっぱり強い人。どっちなんだよ。この作品に出てくる人物では一番人間味のある人物かもしれない。裏表あるし。とはいえ、過去は過去としてあるのだが、結局は裏切ってない人だからなあ。実際、せっせと本国に情報送ってきちんとスパイ活動していたトーニャと違い、もっとはやく言ってれば問題にならなかったであろうことを抱え込んでしまって結局それが爆発するというパターンだし。しかし、雪ルートではあんなにリックの過去に反発するのに、他のルートではほぼ完全にスルー状態なのはどうかとおもうが。セルマルートではフォロー的にわずかに言及されてはいるけれども。ほぼ同じ設定、ほぼ同じ経過をなぞってしまうこのゲームでは、その微妙な立場の違いで行動が大きく変わってしまうことに非常に違和感を覚えてしまうのだが。

 ベイル:非常にいい銃。主人公を補佐し、叱咤激励し、アドバイスし、力を与える存在。主人公の最大の味方であり、敵である。最後の最後まで自分の目的のために行動し、最後の最後でそれを実行する・・・んだが、やっぱ、それでも最後の戦いは、リックを叱咤激励していたようにしか思えない。ルタとアルフレッドの関係が主従関係なのに対し、こちらはほんとに親友同士なんだよな。くじけて倒れてしまったリックを無理やり殴り倒し、何が大切かを失われてしまったものを思い出させ、自分と別離し、そして開放する。奪ったものをきっちりと返すところは律儀すぎる。結果、ベイルはリックに力だけを与えて、結局何も奪わなかったわけだし。カースドウエポンの癖にすごい友達思いなんだよなあ。どこぞのストームブリンガーはえらい違いなんだが。逆に、ストームブリンガーっぽいくせにこの人の良さが魅力なのかもしれない。微妙にへたれだし。へたれっていうより、ノリがいいだけだとおもうんだが。

 アルフレッド:予想通りと言うか、ラスボスというか、この物語ほぼ全部の元凶。ギュスターブの行動除く部分で。空っぽで善悪の判断が付かず、走り出したらとまらない。どこの切れる17歳だろう。こいつの言動はいちいちすかしてるが、子供じみたことばかりで説得力が皆無なんだよな。まあ、そういう虚無感が彼の特徴なんだけれど。隣の芝生は青いといわんばかりに、リックを羨み、リックの真似して執事をしてみて、主の希望をかなえるためにすべてをどん底に送り込む。そのくせ、リックを倒さなければ進めないとか、結局、何をしたかったのか、何を言いたかったのかさっぱりわかんないんだよな。そのくせ、死の間際では兄らしい言動を取ったりっと、結局リックに殺されたかっただけとしか思えない。典型的な破滅キャラで、やるこた徹底してるのに、彼自身が徹底した悪ではないためどうもすわりが悪い。まあ、最後の最後で、ガンマンらしくクイックドロウ勝負を挑んだのは良かった。カットスロートとファンタズムでがちがち殴り合って決着じゃあ、ガンスリンガーの名が泣くだろうし。しかし、これほど動機の薄いキャラは珍しいような気がするなあ。

 ギュスターブ:どいつもこいつも絶対的な悪になりきれない中、一人で目的のため全てを省みず、突っ走ってくれた正当悪役。愛した女性を生き返らせるため、全てを敵に回し、全てを裏切り、自分すら省みずに突っ走る。その狂いっぷりがある意味九鬼先生を越えており、白熱したラスボス戦を演出する。何しろ、卓絶したガンスリンガーとしての能力+エメストラブラムを二つもち、しかも、リックのベイルハウターの能力とすこぶる相性のいいシステムまで保有する。油断していたとはいえ、レイスを完封し、あまつさえリック+アルフレッドコンビという、タッグ組めばこのゲーム最強だろうコンビにすら完勝する。まさに、この話で出てくる最強キャラ。最強キャラにふさわしく、主人公一人では太刀打ちできず、ヴァレリアと協力してルタを奪い、そして、恐らくこの物語で最強の技であろう、グール+アクエリアスという極限奥義で倒されるという、順番に攻略しなきゃ行けないタイプのAVGなのに一番最初のラスボスほんとにこいつでいいのと言うくらい凶悪でぶっ飛ばしたキャラクター。雪ルートとセルマルートが微妙な差異があることを除けばほぼ同じ展開を進むのに対して、ヴァレリアルートだけは違う話を展開するのも、全部こいつのおかげだろう。リックとアルフレッドの確執が表面化しないまま終わるため、ずいぶんとすっきりとした物語が展開するし。アルフレッドと違い、壊れていく様がしっかりと描かれておりしかも、納得できるので、彼に対する感情移入すら出来てしまう。最後の教会での死にっぷりは見事の一言だ。あまりに話を一人で引っ張り、一人で盛り上げ、一人で幕引いてしまうため、その後のヴァレリアのエンディングが蛇足に思えて仕方が無くなる。もっとも、一応ヴァレリアルートではヒロインは一応ヴァレリアなのでエンディングの存在は当然として、セルマルートで、何の脈絡も無く再登場してしかも味方として活躍するのはどうかと思うのだが・・・。アルフレッドと同じく走り出したら泊まれない人間だが、彼の場合そうなってしまうことを納得してしまうバックボーンがあるからなあ。やっぱわからないからただ何となくといわれるより断然説得力があるよねえ。

 シド:中の人がシャアの人。中の人がジェリドだった人とは違い、意外と見せ場が少ない。同じヘタレなのにこの差はなんだろう。ヴァレリアルートではほとんど出てこないし、雪ルートでもちょっとだけ。セルマルートでようやく本領発揮。の割りに比較的あっさりと死ぬ。多分これだとソードワールドのレッサードラゴンのほうが強い。
 その代わり、死に様だけは非常にいい。ギュスターブにして欲しかった死に方をシドがやってくれる。全力で戦って死にたかったという彼の死に様は非常にしびれるものがある。誰にも見取られずに死ねばもっと良かったのだが。一応、ガラたちとの絡みは、雪ルートでやってたわけだしなあ。兵士として死ぬってのは、誰にも知られず、誰にも省みられず、ぼろきれのように死ぬことだったのにな。ちょっとそこだけ残念。まあ、些細なことだが。この人が裏で手を引きいろいろするのかと思ったけど、全部アルフレッドが主導だったためか、結構主体性の無い人になったのがちょっと残念だよなあ。アルフレッドも手駒呼ばわりしてたし。

 ガラ:何、このかっこいいおっさん。この男くささがたまらん。そして、雪ルートの分岐での行動がまた泣ける。関係の薄いギュスターブルートを除いて、ほぼどのルートでもおいしいところを持っていく人。まあ、セルマルートでは控えめな活躍だったけれど。雪ルートでやるべきことはやったからなあ。どこまでも人として正しい道を歩き、父として行動する。まさに漢の生き様を示す中年。しかし、やはり特筆すべきはガラルートに突入してからの行動だろう。このゲームで唯一涙腺が緩んだ瞬間だった。そういう意味では、あやかしびとほど涙腺には来ないゲームだったからなあ。あやかしびとでは、会長に涙し、ウラミジールに涙し、逢難に涙し、すずとの分かれに涙し、九鬼先生との分かれに涙する。必ずとこかで泣いたんだがなあ。人気投票で1位をもってきそうだなとおもったら、早速1位になってな。

 さて、総評としてはあいも変わらず熱い話。あやかしびとよりもエロが控えめになってた。だからといって熱血が増えてるわけでもないが。
 学園ものと、政争メインという違いからか、日常パートを非常に描きにくいんだろうなあ。苦心の後が見え隠れする。いつ修羅場になるのか、どこまでが日常で非日常かの判断がつかない。ある意味、紙一重で非日常になる世界なので、挟まれるギャグシーンが唐突だと思うか、それとも、得がたい大切な時間と感じるかで、大きく評価が変わるのではないか。
 あやかしびとは、溜めて溜めて溜めて落として持ち上げるという王道パターンが取りやすく、それだけにカタルシスを感じやすいが、こちらはいつ落ちるのか上るのかわかりにくいところがドキドキ・・・ってなればよかったんだが。残念ながら、そうはなってない。確かに、いつ破滅が来るかわかりにくいが、その代わりといっては何だが、落とし方が弱い。あやかしびとは、徹底的に有頂天にしてから*2思いっきりどん底まで落とす。そこから這い上がって逆転するというのが中身は違えこそ逢難ルートを除くルートで採用されている。*3こっち、意外と絶望があるようで無いんだよなあ。メインキャラで死ぬ人もいなけりゃ、さらわれてしばらくいなくなるとかそういう展開もないし。まあ、あやかしびとみたいに、主人公がさらわれてずっといなくなるとか、主人公が悪になる。しかも大暴れするとか、ヒロインがマジでスパイでしたとか、メインヒロインなのに後半出番が無くって誰ルートだったかわからなくなるとか、そういう落としっぷりが足りない。
 ようは、意外な行動も少なければ、物語的なサプライズも無い。安定して面白いし、燃えるのだが、それだけなのがちょっと残念だ。あやかしびとのほうが色々やりやすかったというのもあるのだろうが、3つあるルートのうち、雪ルートとセルマルートは、細部違えど大筋同じだったりと、ちょっと物足りないなあという気配だけは拭えない。
 もっとも、前作が良すぎたためにこういう部分が目立つわけで、この作品単品で見れば、かなり面白いのは事実なんだよな。
 だが、東出ファンとしては*4あえて厳しく採点したい。
 100点中、70点としておこう。
 しかし、やはり男女混合人気投票して欲しいなあ。ガラが1位取りそうで怖いんだが。

*1:実質主人公でも外的要因なしにレイスを倒すことは出来なかった

*2:ようはヒロインとくっついていちゃいちゃ絶頂期までもっていく

*3:逢難ルートは落ちたままもがき続けてそれでも最善を目指すという形。それゆえに、完全なるハッピーエンドにはなりえないわけで…

*4:まあ、こんなとこ東出さんが読んでるとは思わないし、批判的な意見なんていちいち聞いてらんないだろうし