エヴォリミット 雫ルート

 話が終盤ぶっ飛びすぎていろんな意味で驚いた。
 あれだな、東出さんはきっと、自分の作った主人公たちを最強スレにエントリーさせたかったに違いない。相棒の鋼屋ジンさんのデモンベインが上位にランクインされたから対抗意識を出したんだろう。
 雫の秘密が思ったほどたいしたこと無かったことと、ストーリー的にそれほど重要でもなんでもなかったのは少し拍子抜けしたか。そういう存在であることにより、一度主人公から離れて取り戻すような展開になると予想したんだが。ラスボスの動機に関しても拍子抜けかな。てっきりラスボスは実は○○○○○○的な存在で、だからこそ進化を望んだとかそういう話だと思ったんだが。この部分は今日か明日書くキャラ感想で俺の予想を書く。当然ネタバレバレで。
 1ルートのボリュームはそれなりにあるのだけど3ルートしかないのでやはり短いと感じる。1ルートが文章全部読めば10時間以上かかるが、かぶっている部分飛ばせば6時間くらい。
 日常部分はとってもおもしろかったのにバトル部分が少々残念だったのはいただけないか。雫ルートでは意外な人が敵になり、意外な人が仲間になるというサプライズ展開になるが。敵になる人は、ストーリー的にそういう展開が必要だったかどうかはかなり疑問だけど。
 バトルに関してはやはり先日も述べたが、進化するのがわかっている部分がネックだ。他のどんな作品もピンチになれば主人公補正+主人公たちの試行錯誤で切り抜けるというパターンは王道だし必要なものだし見ていて爽快であり見せ場であることは間違いない。ただ、この作品の場合、ピンチはチャンスな訳だ。ピンチになればみんな階段上って進化する。後出しじゃんけんみたいなものである。カズナルートでは進化は主人公の特権だったが雫ルートになると猫も杓子もみんな進化進化進化のバーゲンセール。のりは、かめはめ波自分に撃って瀕死になったところ仙豆食って進化するサイヤ人的なノリ。とにかく、手詰まりになったら即進化ってのがこの作品の主題であり売りであり最大の欠点だと思う。バトル物の手に汗握るがこの設定によりまるっきり予定調和をなぞらせているだけになる。予定調和なのはいいんだよ。主人公がピンチで大逆転。それはいいんだ。ただ、その大逆転にいたる道筋でいかに予定調和を感じさせずに読者(この場合はプレイヤーか)を納得させるかが腕の見せ所だと思うんだよね。
 え、先日、これからそういう部分は見過ごすことに下って言わなかったっけって? そのつもりだったんだけど、あまりにひどかったんで言わざるを得ない。
 あやかしびと作ったときは荒川さん*1だっけ、たしかライターの上に総括する人がいて、読んだシナリオにいろいろ注文つけてたそうだが、そういう人は今はプロペラには居ないのかな? 東出さんの作品は面白いが、やっぱり舵取りで切る人が別に居るほうがいいかもしれない。
 もっとも、クロノベルトは安定した面白さだったので、いなくても平気な気もするしなあ。ただ、あやかしびとを離れた2作がそういった設定を練りきれてない部分がどうしても大きく感じられるのが少々残念か。荒削りといえば荒削りなのだが、ずっと荒削りのままなのはどうかと。結局、荒川さんという舵取りがいたあやかしびとが一番まとまっていて、それ以降のさくひんがややまとまりに欠けているように感じる。まあ、あやかしびとも余計な部分とかはあったけどね。たとえば単品バトルで見れば作品屈指のバトルとなるトーニャルートの双七対九鬼先生とか。あれは作品屈指の名シーンだが、トーニャルート全体で見たら蛇足でしかないし。
 なんかけなしてるように見えるけど、実際はとっても面白い作品。なにしろ発売して4日ほどでクリアしてるんだから、詰まんなかったわけがない。のめりこむようにしてゲームをやったさ。だからもうちょっと、こうだったらよかったなあという部分があるわけで。
 とりあえず、ヤレ。やって俺の意見に賛同するも反対するも好きにすればいいさ。

*1:名前違うかもしれないが、とりあえずこの先荒川さんで通す。