鋼の錬金術師 27巻

 ようやく完結。長い間お疲れ様でした。
 27巻で完結なので、コミックの冊数としては比較的コンパクト…。っていうか27巻ってそれなりのボリュームなのに短く感じるってなんか最近の大作志向に毒されてるよね。
 ジャンプ黄金期あたりだと20巻も行けば長期連載だったんだが。
 内容そのものは、アニメで先に見てるので、逆にほとんど一緒なことに驚いた。アニメの最終話って原作連載の最終話が出版されたころじゃなかったっけ。銀魂の終盤みたいに、雑誌に掲載される前に原稿を制作会社に送って作らせてたのかな。
 アニメ版は惜しいことしたよなあ。最初のアニメ化が最後、オリ路線でグダグダになったのが。まあ、あの時は原作の先が見えてなかったからああいうオリ展開にするしかなかったんだろうけどね。それに、1期目のアニメがあったからこそハガレン知名度が上がったともいえるし。知名度上がってなくてもガンガンの看板として最後まで続いたのは間違いないだろうけどさ。
 この漫画の感心するところはいくつかあって、まず話のプロットがしっかりしていること。1話や1話のプロットじゃなくて話全体のプロットのことね。10巻越えたあたりだろうか、ちょうど半分くらいっておまけコーナーでいっていたことを思えば少々長くなっているがほぼ構想どおりに終了したんだろうな。
 ジャンプの長期連載漫画家にはどいつもこいつも、この構想力ってのが足りないと思う。どれもこれもどうでもいい話を無駄に引き伸ばして常にアニメ版ドラゴンボールフリーザとの決戦を見せられている気分になる。ワンピースも、ブリーチも、ナルトももうちょっとコンパクトにできるだろうと思うのだが。書くべきことと書かなくて良いことの取捨選択ができないんだろうな。考えたことすべてを書くことが正しいと信じているらしい。
 よくできた物語というのは細部まで設定はあるものの、その設定にのっとった上に、書くべきことだけ書いていることだと俺は思うが。
 銀魂こち亀に近いし、ああいったグダグダ日常を永延と続けてくれて良いんだけどね。
 感心することの二つ目は、最終巻にも作者が書いているけど、主人公たちが人々に感謝する物語ということ。
 これによって読後の爽快感が生まれる。ダークファンタジーといわれるように、この物語けっこうえぐい部分が多い。描写では劣るがベルセルクに近いものがある。ただ、それを感じさせないのは、主人公たちのさわやかさなんだと思う。というか、あおり文章でダークファンタジーって言われるまでそうだと思わなかったもんな。いわれてみるとそうなんだけど。
 ほかにも無駄に敵キャラクターを引っ張らないとか、いろいろある。唯一の欠点は北の国境あたりの話がだれたことあたりか。アームストロング准将を出すための話だったのだろうが、少々蛇足気味な気がする。
 それでも全体的によくまとまった上で面白かった話だとは思う。ラスボスが以外に小物だったことはちょっと残念だが。だったらどんなラスボスだったらいいんだよといわれても困る。バーン様みたいなのがポロポロ出てきても困るしねえ。