ヴァナ・ディール紀行 序文

 大陸の一番南に存在するサルタバルタ平原。
 その中央にあるのが天の塔。
 それを中心に存在するのがウィンダスの首都でもあるウィンダス
 水と石と森で出来た都市。
 私こと、エリック・フォン・エディックはこのウィンダス出身である。
 フォンなどと言うミドルネームが付いているが、先々代は商人で、金で官職を買った結果、フォンなどと言う大層なミドルネームが付随することになった。しかし、その代償にバストゥークの官吏として、ウィンダスという異国の地へ行くこととなったのである。
 もっとも、商人であった祖父からしてみれば、さほど苦痛でもなかったようだが。
 私の両親は生まれも育ちもバストゥークだ。両親が生まれたばかりのバストゥークはまだ未開発もいいところで、戦争の影響もありあまり良い思いではないらしい。特に生まれ故郷に帰りたいとも思わず、祖父の仕事を引き継いでウィンダスに滞在しつづけている。
 そんな私は、18年前にウィンダスで生まれた。
 ここはタルタルと言う、見た目は人間の子供のような外見の種族と、ミスラと言う尻尾の生えた種族が中心になっている国家だ。ミスラですら少数民族で、その国家運営のほとんどをタルタルが行っている。政治の中心は神子で、神子の神託により、政治をおこなっている。祖父に言わせれば原始的な政治形態と言うことになるのだろう。
 生まれも育ちもウィンダスの私にとって、それは普通のことであった。
 この国において、ヒュームは少数民族となる。けれども、この国の人間はおおらかで、異種族であることはあまり苦にはならなかった。
 それでも、疎外感を受けることは日常的なことであった。
 私は病弱で、内向的な性格でも合ったことから、その疎外感を一人で耐えることは出来なかった。
 ウィンダスには魔法学校と言うものが存在し、私はそこで落ちこぼれであった。ウィンダスに限らず、魔法に関してタルタルという種族に比肩しうる種族など存在しない。ヒュームである私が彼らより劣るのは当然のことであった。それでも私が魔道士を志したのには理由があった。
 それは私を支えてくれた友人の存在である。
 私の友人は、ウィンダスでは少数派である私よりもさらに少数派のグループに属していた。彼女はエルヴァーンと言う長身痩躯の種族だったのだ。エルヴァーンははるか北東にサンドリアと言う国家を形成し、そこにほとんどの者が住んでいる。非常に国家的結束の強い種族で、悪く言えば排他的種族だ。
 故に、ウィンダスにおいて彼らは非常に少数派であった。ましてや、彼女の場合は孤児である。おおらかで人当たりのいい性格の者が多いタルタル族の間に住んでいても、彼女は相当厳しい風当たりを受けていただろう。少数派のエルヴァーンのコミュニティにおいてですら、孤児である彼女は更なる少数派に属することとなったのだ。
 そんな彼女だが、物怖じせずに、臆することも無く、自由闊達気ままに生きていた。正直、私は彼女のことをうらやましく感じていた。
 彼女は典型的なエルヴァーンの特徴である、頑健な肉体と強靭でしなやかな肉体を持って、戦士として訓練を受けていた。ウィンダスにおいて戦士と言う肉弾戦を行う者は少なく、それなりに重宝がられるのである。
 むろん、彼女にとってそれは生きるための選択であっただろう。エルヴァーンは白魔法を得意とはするが、持ち前の魔力が少なく、やはり魔法と言う分野においてはタルタルの足元に及ばない。けれども、彼女は戦士として最上に近い資質を持っている。それを生かすことこそが、彼女の生きる道だと私も思えたのだ。
 しかし、彼女は違った。彼女はいずれ、このウィンダスを出ようと考えていたのだ。
 冒険者として、世界を旅して生きようと決意していたのだ。彼女は両親のことをほとんど知らない。ただ、彼女の両親が冒険者であったことのみがかろうじて遺品から窺い知れたことであった。彼女にとって戦士を志す道は、己の目的のためであったのだ。
 幼い私は、彼女の手助けをしようと決めた。ならば、彼女が不得手とする魔道において手助けするのが最も有益だと思ったのだ。
 そして、今。19の誕生日を3ヵ月後に控えた今日、ついに私と彼女はウィンダスから旅立つ決意をした。
 私の名はエリック・フォン・エディック。ウィンダス生まれのウィンダス育ちのヒュームである。
 私は相棒の、レダ・トリニダートと共に、ヴァナ・ディールを歩いた足跡を残そうと思う。



 そんなわけで突発連載企画。ヴァナディール紀行の序章。これからエリックとレダのヴァナディールでの旅について綴っていこうかなと。
 そんなわけだけど、俺のFF11の冒険とはなんらリンクしてないので、あくまでヴァナディールの風土を書き記しながら日記形式のSSと言うところか。あまりミッションなどを深く題材にして書こうと言う気はない。あとレベル上げとかサポートとか言う言葉も出ないので。
 エリックと言うキャラは完全創作。ギルガメ鯖で見つけても関係ないので注意。レダっていうのは今のキャラの前に使ってたキャラクターでこれも消してる。再開するときにレダにしようと思ったけど名前取られてたので恐らくこの名前も存在するけど、関係ないので注意。
 ヴァナディールと言う世界の魅力についてかければいいなあと思ってるのでゲーム的な文章は存在しないと思ってください。レベルとかランクとかそういうのね。