ガンパレード・マーチ〜新たなる行軍歌〜

 一度キッズステーションで見てたけど、レンタルでまとめてみることに。
 キッズステーションの時は何度か放送して見逃した回を補完する形で見てたため、話が前後しすぎ。
 例えば、壬生屋が死ぬとこみてから2話、3話みたり、11話見てから7話みたりと話が飛びすぎてた。結局は全部見てたけど。
 頭から見ると、「あー、こうなってたのか」と話を再構成できた。
 ゲームのファンが熱烈なために世間の評価が低そうな作品だが、俺は個人的に好き。12話という短いスパンじゃ、せいぜい恋愛話をまとめるのが関の山だろうし。厨の妄想みたいな裏設定だらけの原作内容を全部再現するのは12話じゃたらんだろうし。
 どこかのプログで、こんなギャルゲ見たいなのは別にガンパレのキャラ使わなくても出来る、アニメ作り手の好き勝手な改造はダメだ、見たいな意見を見たけど、
 ガンパレの売りってのは、戦闘にはまるも良し、学園恋愛ドラマにするのも良し、ソックスハンターになるも良し、世界の謎に迫るも良しと、何やっても良いってのが売りなんだから、その中で比較的とっつきやすい学園恋愛物の部分にスポット当てるのは別におかしくないと思うんだが。
 これも、ガンパレの要素の一つだと俺は思うんだけどね。
 原作との違いは、PBMとか言う一種核兵器みたいな切り札が出てくることと、原作は3ヶ月ほどの機関だったのが、こっちは頭からけつまでで1年以上が経過していることか。7話がクリスマスなのに8話には新入生入ってきて驚いたりもした。
 原作が余り好きじゃなかった俺としては、アニメのこの恋愛と言うつくりは有りかなと。また、後半はラブコメ一直線だけど、前半部分は戦争してるんだということをまざまざと表現してたのも特徴かと。
 ちなみに、この展開は08小隊に似てる気が。
 原作キャラは半分以上削られてるっぽいけど、それでもアニメとしては大所帯かと。毎回声優が15人くらいいるし。
 まあ、原作の裏設定をむやみに引き合いに出さなかったのは良かったかなあと、あとこの世界独特の異常感を口頭でキャラに説明させず、ニュースとか状況とかで間接的に見せたのもポイント高いかな。
 どこぞのタイプムーンの最新作みたいに、一人のメインキャラがべらべらとその世界の詳細を主人公に説明する様に比べたらなんと簡潔でよく出来てるんだか。
 非日常を舞台にした物語では、主人公がその非日常に常に接しているか、主人公がその非日常に接触するという二パターンが基本だと思うけど、後者の場合は大抵その世界観を認識する過程が楽しいんだと俺は思うんだが。この場合主人公=プレイヤーな訳であり、そのプレイヤーが非日常を認識していく過程も重要かと。
 原作のガンパレの設定がうけたのも、主人公は前者の常に非日常に接触しているタイプでありながら、プレイを重ねるごとに、その世界の中心に近づいていくという部分が秀逸だったからだと思う。結局はどっちも「この話はこういう世界観だから納得してくれ」ってとこに行き着くんだけど、一気に誰かに説明されるのと、自力*1で辿り着くのでは達成感や納得感が違う。
 おっと、アニメの話だった。
 ラブコメにして良かったところは、中々芝村と速水が仲良くならなかったこと。
 2話ではあまり互いの印象は良くなく、3話では頑張って歩み寄ろうとするが最終的に口論になる。もっともこの口論こそ、歩み寄りの一環だとは思うけど。で、しばらくは日常と戦場を描いて壬生屋の死で非日常を強調して、その最中、二人の戦場での孤立、そこからの脱出劇でようやく芝村が速見を認めて、恋愛に至ると言う、後半はもはや両思いになった二人が気持ちを確認するまでの過程で、不器用な二人だからこそあんなけ時間がかかったと言うだけの話。
 このアニメは全体を通して、前半7話がよかったかなと。個人的なクライマックスは最終回は当然だけど、どっちかというと7話の幻獣の中心からの脱出劇だったとおもうし。すごい絶望的な状況なのに、淡々と冷静に平常心を保って芝村を背負って歩く速水には一種の怖さを感じたのだが、士魂の適正者はどこかおかしいと言う最初のほうの発言が速水にも当てはまるんだなあと。
 まあ、前半のハードさに比べたら後半のラブコメはなんだこりゃと思う人間の意見にも多少納得は出来るか。むしろ、壬生屋の死はなんだったんだと。まあ、あの世界の戦争と死を表現したかったんだろうけど。確かに、あの回の最後の戦死者の名前を読み上げるシーンは淡々として非常に無機的なところが心底応えたが。
 総評としたら、12話と言う短いスパンに、あの世界独特の戦争と日常、速水と芝村の恋愛を上手く描ききったなあと。
 月姫のような中途半端な作品にならなくて良かったと思う。まあ、あれはあれで原作表現の難しさがあった結果のあれなんだろうが。漫画版の出来のよさとアニメの不甲斐なさを比較してしまうとちょっとなあ。
 このアニメの最も秀逸だったと思うのはその特殊な世界観の説明のしかただったのではないかと思う。滝川の「すげえ、ガソリン車だ」とか、3話の冒頭の、今日は何の日で学生徴兵制度の説明をしてみたりと、非常に違和感無く世界観の表現をしてたし。
 1話のみいきなり世界観の説明無しで戦闘繰り広げられた挙句、原作に無い兵器も出てきたりと、1話だけは原作をしってても結構置いてけぼりな気はするが、その世界独特の単語と独特の言葉回しで視聴者を煙に巻く富野アニメと比べれば全然とっつきやすいし。
 あとは、むやみにその世界独特の単語を使おうとしなかったこと、まったく無いとは言わないけど原作の露骨な命名をバンバン出す部分と比べれば全然少ないし。少なくとも視聴者の知ってる言葉で会話してくれてたし。その世界で当然だけど視聴者がわからない言葉で煙に巻くと言う表現は結構鼻につくので。難しげで意味深な言葉を並べればいいと言うエヴァみたいな風潮はちょっとなあ。
 続編作る余地はあるので、もしやるなら、ソックスハンターを1話だけで良いので入れて欲しいかなと。でも、続編するとしても原作テイストはあまり入れなくても良いかなあ。まあ壬生屋死んだから瀬戸口が幻獣だった落ちは使わなくても済みそうだけど。速水の実は12枚のウンチャラとか言う、すげえ厨臭い設定も無かったことにしといてくれ。
 よく出来たアニメ。でも原作の設定マニアは見ないほうが吉かと。ラブコメ耐えれる人だけ見るべきかな。
 で、このアニメの世間的な評価ってどうなんだ?

*1:まあ、ゲームゆえに製作者側に誘導されているわけではあるが。GPMの場合、その自由度の高さからそこに辿り着くか否かはプレイヤー次第ってところが自力というイメージを強くする訳