チンギスハーンの一族 1巻

 陳瞬臣さんの小説。秘本・三国志が面白かったので。あと、チンギスハーン関係の小説って読んだことなかったのもあって。蒼き狼が有名だっけ? タイトル違うかも。
 チンギスに関しては、元朝秘史が当てにならないことと、元々モンゴルの人々が記録を取ることに頓着が無かったせいか、意外と知られていない部分が多い模様。むしろそれ以前の中国のことの方がわかってるみたいだし。モンゴルの外から見たチンギスは伝わってるけど内部の資料が少ないって事なのかな?
 そりゃまあ、イスラム圏の方は街何個も廃墟になるまで壊され尽くされたから、生き残った人は記録するわな。悪い方向で。
 さて、この本の1巻の主人公はチンギスハーン。彼のテムジン時代が半分、ハーンになってからが半分と言ったところか。ずいぶんさらっとチンギスの一生を流したって感じ。戦争とかの描写は薄い。まあ、チンギスの戦争もろにかいたら凄惨すぎるからかもしれない。話の合間合間に、チンギスの人間像やそれを取り巻く人々のことが書かれる。話をまとめやすくするためか、マリアと言う架空の人物*1が設定してあって、その人を通してチンギスの内面を発露させてると言うところか。どっちにしたって、チンギスの内面も架空なんだが。
 この人を描くのに一番難しいのは、モンゴルが行った蛮行と、しかし、人々をまとめ上げるチンギスハーンの魅力というギャップにあると思う。世界帝国をつくり、後継者に存続させそれを維持したと言う部分で、チンギスハーンは誰にも真似の出来ないことをやり遂げている。過去、アレキサンダーがモンゴルの半分ほどの広さの世界帝国を作り上げたが1代限りで消滅してしまった。アレキサンダーそのものが若死にしたこともあるだろうが、この手の急に伸びた勢力は1代で滅びるケースが多いらしい。特にモンゴル系の遊牧民は大きくなるのも早いが小さくなるのも早かったらしい。この辺は中国の歴史という陳瞬臣さんの本の受け売りだけど。
 まあ、チンギスハーンと言えばあれだ
「男子最大の快楽は敵を撃滅しその妻妾を後宮に入れ財産を我が物とする事」といった黒い発現の目立つ人。遊牧民的な性質で他にこんなことも「敵の目の前でその妻や娘を犯して悲しむ顔を見るのが最大の幸せ」どうみたってまともな人間じゃないんだがなあ。上の台詞はどっちも意訳ね。元ネタはこことここ。
http://rh1125.ld.infoseek.co.jp/tin.html
http://homepage2.nifty.com/Kircheis/
 俺、ミーハーだし〜。チンギスに興味持ったのは完全に蒼き狼シリーズの影響だしな。そう考えると立派に教育に役に立ってるよ光栄。
 あ、そうそう、ちなみのこの小説。あんまり面白くない。まあ、期待してたものと違うからなんだけど。

*1:多分架空。ただ、元ネタありかも。秘本・三国志でもそういうキャラいたし