地を穿つ魔

 ようやく、本編が日本語訳で登場。なぜか短編集しかなかったもんなあ。デモンベインファンとしては読まなきゃいけない作品。のはず。
 御大の書く、クトゥルーを筆頭とする、グレートオールドワン達は基本的に人間が敵対することすら不可能に近いのだが、それを何とか倒してしまおうという話。
 とはいえ、主人公が特殊な能力で無理やり倒そうというのではなく、餌をまいておびき出して、弱点を突いて強力な兵器で倒そうというもの。また、終盤は一見、順調そうに見せかけて、実はどんでん返しという部分で、なんとかホラーの面目は保っている。とはいえ、ホラーっぽくない。
 この話の面白いところは、邪神たちを物理法則に縛られたエイリアンとして描いていること。あとはナイラルラトホテップの解釈も面白い。
 全編が主人公の友人の手記として仕立てられたりとか、御大を意識した部分も見られるけど、なんだかんだとヒロイックサーガといえる。ただ、派手さはないけどね。主人公も50歳くらいの髭だし。イメージ的には覇道鋼造。というか、あのデモンベインでの回想シーンで出る覇道鋼造の絵は、タイタス・クロウをイメージして描いてるんだろうなあ。
 まあ、面白いかどうかは結構微妙な気がするなあ。タイトルの割りに、どっちかっていうとタイタスがファウンデーションに加わる話という部分のほうが大きい気がするし。
 で、これ、他の分も訳されるよねえ。このままだと中途半端だぜ。