K-20 怪人二十面相・伝

 楽しみにしていた映画を見てきた。
 で、これが予想以上に面白かった。
 期待していたが、邦画である以上こける確率が非常に高い。どちらかというと博打気分で見に行ったのだが、心配をよそにかなり面白かった。
 一言で言うなら、実写版カリオストロの城といったところだろう。スチームパンクっぽい雰囲気、プロペラ機が飛び交う世界観。主人公は特殊な能力を持つ超人ではないが、人並み外れた運動神経を持つサーカス団員。その主人公が怪人20面相と間違えられて、その疑いを晴らすために東奔西走するはなし。とはいえ、20面相を直接追うことはほとんどしてないんだが。
 主人公が20面相に間違えられるのは20面相の策略だし、そこから先の展開は半分くらいは20面相の手のひらの上の出来事だしなあ。
 ただ、20面相の正体はやっぱりというか意外な人物だったりするわけですよ。
 変装の名人が犯人ということで、そこかしこに、ミスリードさせる要素を入れていたりする。小林少年あたりがかなり怪しかったのだが。
 とにかく、どこかで見たことあるぞ的なシーンが多い気はする。
 ただ、太平洋戦争の起きなかった1949年という独特の世界観がオリジナリティをくわえており、見ている最中はそんなこと気にならなかった。
 そこかしこに、笑いを誘うシーンもあり、お約束の集合体だが、そこが安定した面白さにつながっている。アクションシーンも及第点というところだろう。20面相と遠藤平吉が争うシーンはなかなかよくうごく。
 結論から言うと、日本もやればハリウッド的作品を作れるじゃんというところ。
 独特の世界観があるから、これは海外でも勝負できるんじゃないかなあとおもった。
 ただ、一部、CGの使い方が下手で、露骨に合成だとわかるシーンがあるのはどうかと思う。そこのCGや特撮だとわかっててもだまされる的な絵を作る技術をもっと身につけてもらいたいとは思う。
 あと、金城武は絶望的に滑舌がわるい。鬼武者初代の時に、金城の棒読みがひどいと思ったのだが、滑舌がわるいからなんだろうなあ。ドラマだと、俳優の口の動きや演技なんかで聞き取れるんだが、CGにアテレコになると、ほんとに声だけの世界の勝負になるから、滑舌がわるくてぼそぼそしゃべる金城はどうしても下手にならざるを得ない。
 舞台俳優出身の声優さんが上手なのは、舞台では口の動きが観客に見えないために、はっきりと滑舌よくしゃべる技術を役者さん達が身につけているからだろう。やはりそういう部分を経験していない俳優は、テレビや映画などの映像がフォローしてくれる世界以外では通用しにくいんだろうなと。
 もっとも金城武は、あのぼそぼそしたしゃべり方や声質が魅力だから、それが悪いというわけじゃないが。そういう、彼の実力が発揮されにくい場面で使うほうが悪いんだろうし。金城武は、舞台俳優でも声優でもないわけだから今のままでいいと思うし。
 あと、仲村トオルの演技に今回は脱帽した。
 仲村トオルの演じる明智小五郎に金城が化け、その小五郎が狼狽して金城演じる遠藤役の素の部分がでるというややこしいシーンがあるのだが、あのシーンでの仲村トオルは非常に金城っぽい動きをしていた。しゃべりかたもなんとなく金城風で非常にうまいなあと感心してみてしまった。面白いシーンでもあったし。
 とにかく、期待半分、地雷覚悟半分で見に行ったのだが、なかなか満足できる内容だった。
 
 さて、今年の日記はたぶんこれで最後…まあ明日も書かないとは言い切れないが。
 とりあえず、よいお年を。