女神異聞録デビルサバイバー

 発売の発表から3ヶ月くらいで発売されるとはおもわなんだ。フラゲはなんとかしたものの、連日午前様の有様で、ようやく手を出せた。
 さて、去年はペルソナ4とライドウ対アバドン王と神作品を連発したアトラスだが、このデビルサバイバーも取っ掛かり部分だけのインプレッションだが、なかなかの好感触。キャラクター造詣とかはペルソナより何だが、封鎖された東京とか、そういった部分は非常に真1に近い雰囲気。過去にあったメガテンのスピンオフでシミュレーションRPGだった魔神転生とはまた毛色の違うタイプのゲームになっている。むしろ、ペルソナと真の中間的な部分から女神異聞録というタイトルになったんだと思う。
 まあ、キャラクターや絵は好き好きがあるから置いておくとして、ゲームとして非常に練りこまれていると思う。まあ、この感想が最後まで維持されるかどうかはわからないが、それでも大コケすることは無いだろう。
 「シンプルで奥深い」この良く言葉を実行するのがどれほど難しいか。だが、現時点で、デビルサバイバーにこのシンプルで奥深いという言葉を与えていいと思う。ここ数年で出た面白いゲームで有名どころをいくつか上げてみると、FF12ミンサガ、モンハン、DQ8。これらは前者2作は奥深いがシンプルでなく、後者二つはシンプルだが底は浅い。いっておくがこの4作がつまらないというわけではない。メガテンシリーズもどちらかというと、バトルこそドラクエタイプのシンプルでありながらも傾向としては前者の奥は深いがシンプルではなく難解でとっつきにくいゲームになる。ペルソナあたりから、それだとライトユーザーに受けないからできるだけ難解さを取り除こうとしているが、それらは新規ユーザーに受け入れられても過去ユーザーからは概ね不評であるケースが多い。
 このデビルサバイバーシミュレーションRPGである。もうこの時点で敷居が高い。シミュレーションRPG=マニア向け。ゲームをちょっとかじった人なら大抵この図式が思い浮かぶだろう。ライト層に受けてそうなシミュレーションRPGも突き詰めれば育成しまくりのやりこみゲーム化する傾向にあるし。
 デビルサバイバーはそのシミュレーションRPGでありながらもあえて「シンプル」を目指しているように思えた。とにかく、移動の概念とかはシミュレーションRPGなのだが、攻防そのものは普段慣れ親しんだメガテンのバトル画面である。ただ、攻防が1ターンで終了するだけの話なのだ。上手いなあと思ったのは、このバトル画面に最近のメガテンらしさを取り込んだ点である。ようは弱点を突くと有利になるという部分を突き詰めるわけである。攻防部分はコマンド型RPGバトルなので、いつもの感覚で弱点攻撃をすると、もう一回攻撃チャンスが与えられる。ダメージも多く与えられたりするわけである。また、攻撃側が有利に作られておりシミュレーションRPGにありがちな、「待ち有利」も解消している。シミュレーションRPGの場合、待ち有利を崩す手段として死んではいけないNPCを出すという手法を良く使うのだが*1この攻撃側有利を生かすためには積極的に攻める必要がある。けれど、一人突出して囲まれるとやはり振りになるので臨機応変に狭いところで攻撃される機会を減らしたりする必要もあったりと、上手く、シミュレーションとRPGを融合させている。
 こう、ずらっとかくと複雑なように思えるが、どれも視覚的にわかりやすく、システムそのものが単純なのでちょっと考えればその駆け引きが理解できる。この辺がいつも通りの弱点ワンモアバトル形式なのだが、非常に上手く今まで積み上げたものを組み込んでいる。
 他にも、スキルはミッション開始時に指定した特定の敵から奪うことになるので、誰で誰を倒すかとか、効率よく戦うとボーナスがあるとかご褒美をちらつかせつつ、メリハリが利いたシミュレーション部分を展開しようとしているのがよくわかる。
 これ作った人は、シミュレーションRPGの長所と欠点をよく理解していると思う。
 シミュレーションRPGはユニット育成の楽しさと、たくさんのキャラクターが出せる反面、とっつきにくく、戦術が一定化され飽きやすいという欠点がある。この欠点が顕著に出ている作品というと、ファイアーエムブレム聖戦の系譜がそうだろう。キャラクターゲームとして人気を得た反面、クリアするだけなら特定のキャラクターを鍛えて地雷のように放置するだけで7割は倒せてしまう仕組みだからだ。
 デビルサバイバーは1ステージのボリュームを下げ、その中でも考えるように作り、また、レベル上げのための雑魚バトルは考えなくてもさくっと終わるように調節されているように思われる。
 と、今のところ欠点が余り見当たらなく、ベタ誉めなので、最後までベタ誉め出来る事を祈るばかりである。
 ただ、悪魔を仲間にする方法はオークションで購入という形式なので、会話が好きだった人にはまた叩かれるだろう。ライドウの時もそうだったし。まあ、超力兵団の時の仲間の仕方は確かにどうかとおもうしなあ。ペルソナ3と4のほぼ唯一の不満もペルソナの入手方法だったし。俺は個人的にはオークション形式は結構いいとおもうけどね。参加者の名前がフィネガンとかシックスとか他作品のデビルサマナーたちなのでニヤリとできるし。シックスはサマナーちゃうけど。
 とりあえず、ライト層に媚びた絵柄にされたからといって嘆く必要は無く、これはきっちりメガテンなんだと思う。もっとも、個人的にこの人の絵は嫌いじゃないので俺は歓迎なんだけど、これはまあ好みの問題だし、原理主義ってのはちょっとでも変化すると噛み付くしなあ。

*1:この手法はデビルサバイバーでも使われている。シチュエーションのバリエーションの一つ