邪眼は月輪に飛ぶ

 藤田和日郎の短編?作品。単行本1冊だから、短編とも言わんか。打ち切りじゃなくて、短期集中連載だったようだし。
 ノリはいつもの藤田。ただ、からくりサーカス月光条例なんかと比較すると、うしおととらに近い。だから、うしとらが好きで、からくりや月光がいまいちだなあと思ってる俺とするなら相当面白い。
 短期集中だったためか、最初から流れを決めて書いていたようだが、その割には最後の方の展開がご都合主義過ぎる。この辺はからくりサーカス以降の藤田さんって感じがするなあ。風呂敷ゴリゴリ広げてたためなくなった感が。まあ、からくり評価している人は、風呂敷広げに広げまくっている部分を評価してるようだし。うしとら書いてるときやその前後の短編見てると、話のまとめ方がうまい人だったと思ってたのだが、最近は逆に風呂敷のたたみ方を忘れてるんじゃないかなと思う。
 この作品もそんな感じで、まあよくある、残り10分で、いやいくらなんでもその時間で解決無茶だろうという展開がゴリゴリ続くのはなんだかなあと。こういった、時間の縛りは話の展開に緊迫感を増す一方で、こういった、「10分でそんなことできるわけねーだろ」的なツッコミが増えるケースが多いのがなんとも。だいたい、この作品で、わざわざ最後の10分縛りを入れる必要があったのかとも思うし。まあ、実際は厳密な10分ではないが。とめることも可能だった10分だったようだし。だからこそハリヤーがその程度の時間で準備できたのだと思おう。無理すぎるが。
 いつもの藤田の人情劇なのでそのあたりは安心して見れる。誤解していた人間たちが、一つの事件をきっかけに分かり合ってというパターン。とはいえ、ノリが熱いのでこういう展開も悪くはない。
 一応、連載も見越してたのか、続編が作れるようなつくりにしてあるのはポイントが高い。なによりじいさんが主人公というのはいいものだ。亀仙人好きの俺としては爺さんが活躍する作品は大好物だ。というか、藤田さんの作品は年よりがかっこいいし。
 なので、藤田作品が好きなら面白いと思われる。そもそも単行本1冊だし、はずれても損は少ないだろう。
 藤田作品が好きじゃない人は・・・、まあそもそもかわんだろうし。
 しかし、連日で漫画話とか。マジでそろそろネタがない。
 俺がやる夫スレの紹介とか始めたら、「ああ、ネタが尽きたんだな」と思ってくれ。そして、明日あたりに実現しそうなのが怖い。