白骨城。 骨で出来た異様を見せる、京の夏の風物詩である。 とは、イツ花の言だ。 たしかに、異様な雰囲気だ。黄泉と地上がつながったとでも言うのだろうか。 「まあ、涼しくて良いかもしれないですね」 父の裾を掴みながら、豊代はつぶやいた。 娘の娘らし…
「弟か妹は欲しくないか?」 豊代は父が何を言いたいのかをそれで理解した。いつも口数が少なく、思いつめた表情をしている父だ。発言はいつも唐突である。 「鬼と戦うのに人数が多いほうが良いでしょう」 父の思いを知る豊代はきわめて実用的な形でそれを肯…
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