1018年6月

 白骨城。
 骨で出来た異様を見せる、京の夏の風物詩である。
 とは、イツ花の言だ。
 たしかに、異様な雰囲気だ。黄泉と地上がつながったとでも言うのだろうか。
「まあ、涼しくて良いかもしれないですね」
 父の裾を掴みながら、豊代はつぶやいた。
 娘の娘らしい姿に、思わず鬼切丸は笑みをこぼす。
「鬼は怖くなくても、こういうのはダメなのか?」
「別に鬼が怖くないわけではないです」
 なるほど、娘は娘なりに恐怖を克服した上で鬼と戦っているらしい。
 賽の河原を思わせる場所を潜り抜け、二人はその骨で出来た城に足を踏み入れる。
「中は幽霊ではなく、鬼の巣窟らしいな」
 触れれる物ならば怖くないといわんばかりに、豊代は手にしたブンブン刀を振り回す。その名のとおり、その薙刀はたいそうな音を立てて空気を裂いた。
「ならば、皆殺しにするか」
 白骨が赤く染まる。
 二人の狩人は、当たるを幸いに鬼をなぎ倒していく。
 しかし、その快進撃は5層目にたどり着いた時にとまった。
「お父様・・・」
 緊張した面持ちで娘が声をかけてきた。おそらく、不安に耐えれなくなったのだろう。それほどに、この階の空気は異質だ。
 しかし、そこに鬼はいない。ただ、一番奥に観音開きの扉があるだけだ。
 静かに二人は扉の前に立つ。うなじにちりちりと来る殺気はぬぐえない。鬼は確実にいる。
 鬼切丸の手が扉に触れた瞬間、その殺気は実現した。
「後ろ?!」
 豊代はとっさに振り向いた。しかし、そこに鬼はいない。
 体が後ろに引っ張られるのを感じた。
「お父様?」
 鬼切丸が娘の襟首を引っ張ったのだ。そして、彼女が立っていた場所に巨大な骨が落ちてくる。
「骨の足か?」
 鬼切丸は扉の前に立ちふさがる見上げるほどの骨をそう評した。
 そこには骨盤から下の骨が立ちふさがっていたのだ。
「これが殺気の正体!」
「やるぞ、豊代!!!」
 呆然とする豊代は父の叱咤で冷静さを取り戻す。
 その姿は異様だが、それでも鬼であるならば、斬って捨てるのみ。それが新京極の生き方。
「お父様、結界印を」
「よし」
 娘の提案どおり、二人は懐から小さな印を取り出す。二人を包むように湯気が立ち、二人の輪郭をぼやかしていく。豊代の使った一つ目の時はぼんやりと、鬼切丸が二つ目を使うと、その陽炎はよりしっかりとした人の輪郭を作る。
 その間、骨の足は身動きすらしない。
「様子を見ているのか?」
 鬼切丸の考えは間違っていた。そう、足の動作は溜めの動作であったのだ。全身の力をその肉体に蓄えていたのである。
 それに気がついた時は既に遅かった。膝をかがめた姿から、恐るべき突進力で足が進み、そして、振りぬかれた足が豊代を捉えた。より、遠い位置にいたはずの豊代は防御することもかなわずに吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。叩きつけられた骨の壁が砕け、その威力を物語っていた。
 それでも、豊代は懐からもうひとつの結界印を取り出してそれを掲げた。
 二人を包む陽炎はより輪郭を増し、まるで、その場に二人三人と同じ人物がいるように見える。
「武人!!!」
 鬼切丸は瀕死の娘を尻目に、自らの筋力を増す技を行使する。
 足は二人の想像より速く動いた。先ほどのためがまるで嘘の用にだ。しかし、そのこと如くが陽炎を捕らえてしまう。
「ぶ、武人!」
 豊代は血反吐を吐きつつも、父の攻撃の威力を高める術を重ねてくる。これらは一度一度は些細な威力だが、重ね掛けすることで飛躍的に威力をましていく。 
「くらえ!!!」
 裂帛と共に振り下ろされた斬撃は足の骨を砕いた。それでも足の動きは止まらない。
「武人!!」
 ようやく体制を取り戻した、豊代が再び、鬼切丸に武人を重ねる。
 鬼切丸の一撃は、今までであった鬼ならばどれもが一撃で絶命するほどの威力まで高まっていた。それを2度くらってもまだ足の骨は倒れない。二人は、今戦っている鬼の実力にようやく気がついた。それでも、陽炎に包まれている二人には周囲の骨の壁を砕く一撃は二人に当たることは無い。
「泉源氏」
 豊代はようやくその傷ついた体を癒した。
 鬼は確かに強力だった。しかし、既に勝負がついていた。どちらが鬼かわからない表情の鬼切丸がどんどんとその骨を砕いていく。
 三度。足の骨はその後三度の斬撃でようやく砕けた。
 食らった攻撃は一度だけ。だが、その一度だけで、豊代は命を落としかけた。決して楽勝であったわけではない。
「これが、鬼の大将の実力か・・・」
 2度目の出撃。そこでようやく二人は戦っている敵の強さを実感するのであった。


 結界印を20個購入。黒はちがねも1個だけ購入。もう一個欲しかった・・・。岩石おとしさえ手に入っていれば。
 今月は白骨城に出撃。ここは迷わず進めるし、速瀬が手に入る可能性もある。狙いは竜骨の槌。これも高く売れる。とにかく資金調達が必要なのだ。
 竜骨の槌3つ獲得、鎖かたびら2個獲得、恨み足を撃破。結界印があれば負ける相手じゃないわな。
 奉納点、1100程獲得