1018年5月

「弟か妹は欲しくないか?」
 豊代は父が何を言いたいのかをそれで理解した。いつも口数が少なく、思いつめた表情をしている父だ。発言はいつも唐突である。
「鬼と戦うのに人数が多いほうが良いでしょう」
 父の思いを知る豊代はきわめて実用的な形でそれを肯定した。
父が、自分以外の人間が、その呪いを受けることを望んでいないのを知っている。これ以上、自分と同じ存在を生み出したくないのだ。
 絶種の呪い。それは未来永劫子孫を残せないという呪い。ただし、それは人としてという話。神との間に子供をもうけることは可能なのだ。そのわずかな抜け穴を利用して、新京極家の子孫を残すことが可能なのである。そして、もうひとつが短命の呪い。その呪いのおかげで、新京極の一族、正しくは鬼切丸の子孫は長くて2年という寿命しか持たない。
 神々は、新京極との間に子供を設けることを許してくれた。ただし、無報酬ではない。新京極は鬼を倒すという使命を背負わされたのだ。父母を殺され、その身に呪いを受けた鬼切丸にとっては是非も無い申し入れであった。ただし、彼の怨念は子孫に受け継がれるのである。
 父は娘に対して負い目を持っているのは明白であった。たった4ヶ月の娘にすら見抜けるほどに。もっとも、短命の呪いは裏返しとして異様なまでの成長速度を与える。4ヶ月といっても10代中ごろの外見と知性を持ち合わせてはいるのだが。
 父の苦しみを取り除き、後押しするには、きわめて実務的な答えこそが正しいと、豊代には思えたのだ。
「そうか」
 父の中で何かが決着をつけたのだろう。眉間のしわは消えることなく、イツ花を呼ぶ声が屋敷に響く。
「交神の儀を行う」
 鬼切丸の目に既にためらいの色は無かった。
 こうして、修羅の宿命を背負う者がまた一人、誕生することとなる。


 とりあえず、投資3000両。これで商業がレベル3になる。いらないものを売って2000両を手にする。といってももっと金が必要なのだが。
 交神の儀を行う。もちろん、当主しかこの時期は行えないので、当主で。お相手は風の体以外は結構高い松葉ノお甲。