チンギスハーンの一族 2巻 中原を征く

 チンギス・ハーンの世代交代の話が中心。チンギスが死ぬ、オゴディが第二代ハーンになる、オゴディ死亡、グユクがハーンになる、グユク死亡、モンケが第四代ハーンになるところまで。
 とにかく、チンギス一族の政権争いが話の中心。中原をってサブタイトルなのに、中原なんて出てこないやん。まあ、モンゴルの人間から見た中原はユーラシア全土かもしれないけれど。
 世界帝国の話だから、ぶっちゃけもっと野蛮な話が多いかと思ってたけど、その辺は比較的さらっと流されてる。1巻でもそうだったが、2巻では政権争いが中心のため余計にそのイメージが強い。残酷表現は1巻のほうがまだ多い。もっとも1巻のそれも全然たいしたこと無いが。淡々と結果だけが書いてあるだけで。
 ただし、読み物としては2巻は中々面白い。2巻の主な話はオゴディの心変わりが原因となる次期ハーン争いと、グユクが2年で死んでしまったためすぐに起きたハーン継承争いが中心。オゴディもグユクもチンギス政権時代から生きていた人材だし、ハーンの座に座っていた次期が二人合わせて10年に満たないので、どうみたってチンギス時代よりは密度が薄くなるだろう。急展開のようだが実際には激動の時代だったはずだ。
 オゴディ派からハーンの座を奪うためにトゥルイ一族は結託しているのだが、モンケとフビライが最初仲良くしているのは違和感を覚えた。この辺はその後の二人の関係を知っているからそう思うのだろう。モンケはフビライを疎ましく思っていたのか、中華攻略においてフビライは失脚寸前まで追い込まれることになるのだから。そして、中華攻略の遅れに痺れを切らしたモンケは自ら出兵し南宋攻略中に死亡する。
 この後、ハーンの座を争うのはフビライとアリクブカの兄弟だ。
 このあたりの流れを知っていると、結託していたトゥルイ家の連中が段々ばらばらになっていく様がよくわかる。
 ちなみに、モンゴルが世界帝国としての体裁を保てるのはモンケの時代まで。フビライは結局中国に元を打ち立てるも、結局、西のほうは手放すことになるはずだ。チンギスから100年も経たないうちに世界帝国はばらばらになってしまうのだった。それでもこれほどの大帝国だから長続きした方なのだろう。
 この本、チンギスハーンの一族の流れを多少知ってないと詰まんないんじゃないかと思い始めた。知っててもそんなに面白くは感じないのだが。
 チンギスハーン自体がその知名度の割に結構知られていない気がするからこの本読んで面白いと感じる人がどれほどいるのかな。ちなみに、会社の人に質問したら、チンギスハーンの次がフビライだと思ってた。
 確かに社会の授業ではモンゴルの世界帝国の次にいきなり元が出てきたような気がする。その人は元=モンゴル帝国だとおもってたし。俺の認識では、元はモンゴルの分裂した国家の一つという認識なのだが。まあ、一応ハーンの称号はフビライが持ってるんだけど。
 ちなみに、俺の知識はゲームと小説などで手に入れた知識ばかりなので間違ってる可能性があることは理解しておいてちょ。