1018年8月

 京において、朱点打倒のために活動しているのは何も新京極家だけではない。
 数多くの組織が存在し、それらも日々朱点打倒を掲げて行動している。無論、軍隊も存在しているが、鬼たちから京を守るのが精一杯といったところだ。
 それらの組織を対象に、年に2度、8月と3月にはその大江山討伐隊の選考会が行われている。選考会で勝てなくても大江山に向かうことは可能だが、この選考会でよい成績が残せない連中は死にに行くようなものといえる。

「というものがあるんですよ〜」
 屋敷の居間で、3人はイツ花の説明を聞いていた。
「この選考会でよい成績を収めることが、大江山討伐の目安になるということか」
「はい、しかも、上位3位には賞金も出るんですよ〜」
「でも、イツ花さん。これ、4人一組って書いてありますよ」
 まだ、初陣を経験していない夕顔が、案内書の事項を指差した。
「大丈夫です。最大4人まで参加可能って事ですから。自信があるなら一人でも二人でも結構なんですよ」
「となると、参加するならば、俺と豊代の二人でということになるな」
「えー、お父さん、私は連れて行ってくれないの?」
「見学ならば良いが、まだ実戦には早いだろう」
「そうね、夕顔にはまだ早いわね」
「ぶー」
 夕顔は端正な顔を膨らませて拗ねる。
「まあ、参加してみるか」
 深く考えた様子もなく、鬼切丸はそう呟いた。


「しかし、お父さんも情けないわね」
「面目ない」
 選考会の結果は2位だった。成績自体はさほど悪くないのだが、負け方が問題である。鬼切丸は重傷を負い、痛々しくその体を包帯がくるんでいた。
「まあ、その・・・」
 こればかりは豊代もフォローしきれない。
 正直、決勝は楽勝の相手といえた。実質の決勝は準々決勝の相手であり、たしかにそのときの相手は強かった。
 決勝の相手は実力的には楽勝だったのだが、鬼切丸はくららの術で眠らされた後、気絶するまで袋叩きにされたのだ。
「まあまあ、京において敵は無いということがわかったのですから」
 イツ花がなだめる。
「しかし、くららの術は強力だったな・・・」
 鬼切丸がボソリと呟いた。



 選考会に参加。決勝まで行って負ける。当主が寝たまま起きなかったのが敗因。残念。ただし、奉納点は2000くらい稼いだ。これはでかい。お金も報酬+売ったもので7000くらい行ったので、参加して正解だった。