姑獲鳥の夏

 京極堂シリーズ第一弾で、京極夏彦の処女作。
 読んだのはずいぶん前で、去年映画になったときに久々に読みたいなあと思ってたものの、しばらく放置してた。
 久々に読んだら、話をすっかり忘れてたため、もう一度楽しめた。いや、本当にすっきりと忘れていたものだ。
 しかし、毎度のことながら探偵小説としてはどうなんだろう? と首を傾げたくなる部分もある。他のミステリーと違ってアリバイ工作とかあまり無い作品だしなあ。姑獲鳥の夏は特に主要人物が軒並み目の前の事実から目をそらしてるようなもので*1、それを解きほぐすために京極堂が出てくると言う感じ。まあ、あまりミステリーとかと考えて読んでないからなあ。
 姑獲鳥の夏は京極シリーズでは随一に読みやすいのが特徴。まだこの頃には遠慮があったのか、ページ数が比較的少ないのだ。俺は文庫版で持ってるのだが、この後のシリーズは940ページとかなんかおかしなページ数になってる。鉄鼠の檻なんかは、分冊した形式の文庫だと4冊になってたしね。1冊にまとめるとまさに四角い箱。
 しかし、映画の出来はどうだったんだろうね。京極が語る憑き物落としに繋がるまでの語り*2とか削ってるんじゃなかろうか?事件だけ追えば2時間でまとめられると思うけど、それだと説得力足りないと思うんだよなあ。この話の謎部分にあわせてひたすら現実と仮想現実それらを取り巻く脳について、かなりの紙面を割いて丁寧に説明してあるがこそ、最後に繋がるわけだし。
 レンタルで借りてみてみるかな。
 いや、木場が宮迫ってのがどうも。体がでかくて、顔が四角でえらが張ってて、目と鼻はもう仕分け程度に小さくついてるって感じで小説では書かれてるけど、宮迫とはずいぶんと違うんだよなあ。えらが張ってるところくらいしか共通してないし。宮迫、目はでかいし顔の掘りもそれなりに深いと思うんだが。じゃあ、どの人が適役なんだよ。と言われると答えに困るのだけれども。

*1:語り手までがそう。ポートピアの犯人ヤス並に反則臭い

*2:序盤の仮想現実の話も当然含めて。なにしろ、この話、一番最初の薀蓄で話の根幹部分を語っている