ハルカ 天空の邪馬台国

 ようやく見つけたので購入。あほみたいに分厚かった。とはいえ、新書みたいに、上下に分かれているわけでもなく、文字も小さいわけじゃない。どちらかというと周辺の隙間も広いので、京極堂ほどすさまじいわけでもないが。
 しかし、夜鳥子の1巻から2巻のときも分厚くなっていたが、今回はさらに文章量が増えたなあ。
 まだ、半分くらいしか読んでないので、ファーストインプレッションという形で。

 内容を言うと、平凡な高校生が、唐突に異世界に呼び出され英雄扱いされるという話。
 完全に使い古された話なわけで、さて、これを桝田さんがどう料理したかというのが重要。
 結論から言うと、ボーイミーツガールなのはわかっていたが相当にベタな展開を迎える。
 ヒロインが意外とエロいというのは、新機軸のように思えるが、主人公に抱いてとせがむヒロインがいた黄金拍車という先駆者がいるし、主人公がエロパワーで戦うのも、黄金拍車の主人公カズマがすでにやっている。じゃあ、こっちは中世ヨーロッパじゃなく古代日本だというと、実はユミナ戦記という古代日本をモチーフにした作品があったりする。こっちでは、英雄として呼び出されたはずの主人公が実は別人*1で、呼び出されたのに放置され自らの力で地位を確立するという異世界ものとしては珍しい展開をしたことと比較すると、ハルカは平凡としか証しようがない。
 エロティックや残酷さといったアダルティな部分を売りにするにしては、異世界もの先駆者といっていいオーラバトラー戦記の方がすさまじかったりするし。
 そんなわけで、使い古された題材+目新しいものが無いという点、ぶっちゃけていうなら、二番煎じという域を抜けていないというのが正直な感想だ。
 さて、比較話だけで本書に関して述べていないのは不公平なわけだ。
 特徴を述べると、主人公は現代と古代を行ったり来たりする。古代とこっちは時間の流れが違い、古代での幕間をうまく飛ばして、話のテンポを上げている。まあ、犬夜叉でも主人公は現代と戦国をいったりきたりするけど。
 最初に出てくる敵の将はある意味非常に桝田さんっぽい、というか、天外っぽいキャラクターだった。
 主人公は、たまにこいつ俺じゃないんじゃないかと思うくらい、平凡思考の人間。ただし、異様なほどの度胸は平凡というイメージを与えない。
 桝田さんいわく、女性読者にキモイといわれているそうだが、高校生の思考ってこんなもんな気がするなあ。異様なくらい共感が持てた。
 今のところどこにでもよくある異世界物という域を超えていない作品。後半部分で大逆転できるかどうかがなあ。

*1:後に実は・・・となるわけではあるが